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2019年05月13日

相続放棄の期間は、自分が法定相続人であると知った日から3ヶ月以内と定められています。
3ヶ月間以内に相続の放棄をしない場合は、相続を承認したものとしてみなされますが、特別な事情がある場合に限り、家庭裁判所への申述によって期限外の放棄が認められる場合もあります。
ただし、申述は一度却下されれば二度と行なうことができず、特別な事情を文書で法的に証明しなければならないため、専門家に依頼することが一番です。

相続放棄とその手続き期間について

相続放棄とは?

相続放棄とは、法定相続人である人物が、被相続人からの相続を受け取らないことです。
相続の放棄を行なうことで、プラスの財産もマイナスの財産も含め、全ての相続の権利を放棄できます。

亡くなった被相続人にプラスの財産がたくさんあれば、法定相続人が相続することで、財産や資産を自分のものにすることができます。
しかし、被相続人が、借金や未払い金などのマイナスの財産を、プラスの財産よりも多く持っていた場合、法定相続人は借金などを返済する義務を負います。
マイナスの財産を引き継ぐことになる場合、相続を放棄すれば、借金や未払金などの返済義務はなくなるため有効な手段です。

また、相続される財産の中には、連帯保証人としての立場も含まれています。
被相続人が連帯保証人になっていた場合は、他人の借金を返済しなければならなくなる可能性もあるため、相続の放棄は重要な問題です。

相続放棄の期限について

相続放棄には期間が定められており、「被相続人が亡くなり」「自分が法定相続人であると知った日」から3ヶ月が期限とされます。
2つの条件が揃った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して申し立てを行なわなければいけません。
期限に関しては、民法によって次の通り定められています。

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

出典:e-Gov:民法

「自己のために相続の開始があったことを知った時」が、最初にご紹介した2つの条件が満たされた時です。
ただし、民法にも記載されているように、3ヶ月の期間は延長することができます。

期限の伸長について

民法にも記載されている期限の伸長は、家庭裁判所への申し立てによって実行されます。
例えば、相続するべき財産が非常に多い場合や、鑑定しなければ価値が判明しないものが含まれている場合など、全ての財産の把握が3ヶ月間で完了しない場合などが挙げられます。
プラスの財産の価値が判明しなければ、マイナスの財産の価値と比較することができないからです。

期限の伸長は、法定相続人がそれぞれ行なわなければいけません。
法定相続人が5人いて、5人全員が相続を放棄する可能性がある場合、5人全員がそれぞれ申し立てを行ないます。
申し立てには、申立書や相続人の戸籍謄本などの書類と、800円分の収入印紙と郵便切手が必要です。

必要書類や収入印紙、郵便切手などを揃えたら、相続が開始された場所を管轄する家庭裁判所に申し立てを行なってください。
ただし、相続する財産の管理をしながら、申立書の作成などをしなければならないため、相続の専門家に依頼したほうがスムーズです。

「相続人であると知った日」の基準について

「自分が法定相続人であると知った日」については、被相続人と法定相続人の関係性によって詳細が異なります。

・配偶者の場合:被相続人が亡くなった日から
・子の場合:被相続人が亡くなり、自分の親だと知った日から
・親の場合:被相続人が自分の子供であり、子供が存在していないと知った日
・兄弟の場合:被相続人が自分の兄弟で、子供が存在しておらず、親が亡くなっていると知った日
・相続放棄によって相続人になった場合:先の順位の相続人が相続放棄したことを知った日

上記のように、自分が法定相続人であると知った日という基準には、様々な状況が考えられるため、被相続人との関係性が異なれば詳細が変わります。
配偶者であれば被相続人が亡くなったことはすぐに知れますが、被相続人の子、親、兄弟の場合は、自分と被相続人との関係を知らない場合もありますし、被相続人が亡くなったことを数日間知らないということも考えられるからです。

また、「相続放棄によって相続人になった場合」というのは、もともと法定相続人でなかった人物が、被相続人の配偶者や子、親などが相続を放棄したため、相続人になってしまった場合のことです。
相続には法的に順位が定められているので、相続人という立場が回ってくることもあり得ます。

3ヶ月の期限を超過したらどうなる?

3ヶ月を過ぎてからの相続放棄

相続放棄の期間である3ヶ月間を過ぎてしまった場合、基本的には、相続を放棄することは認められません。
3ヶ月を過ぎた場合は、法定相続人が財産の相続を承認したとみなされるからです。
財産の相続を承認したことを、「単純承認」と呼んでいます。

例えば、相続放棄の期限が3ヶ月であることを知らなかった、という場合であっても、財産の相続を承認したとされその後の放棄はできません。

期限が過ぎてしまった場合の対処法

何らかの理由で相続を放棄する期限が過ぎてしまった場合は、相続の専門家に依頼することが最善の策です。
期限切れの相続放棄は、家庭裁判所に対して、法的に既に認められている事実を覆すよう、文書を作成して説得しなければいけません。

基本的に3ヶ月の期間が過ぎてしまえば、相続放棄をすることは難しいですが、正当な理由があって裁判所から認められれば、例外的に相続を放棄することができる可能性もあります。
ただし、法的に単純承認したとみなされた相続を、相続放棄に覆すことは簡単ではありません。

期限外の相続放棄手続きについて

期限が過ぎた後に相続放棄をするためには、事情説明書による申述から、家庭裁判所に正当な理由を証明することが必要です。

まずは、期間が過ぎた後で相続を放棄する正当な理由があることが前提であり、相続放棄の理由を「事情説明書」という文書にまとめて提出します。
事情説明書に記載するべき内容は、相続する財産が存在しないこと、財産が存在しないことを証明するための論理的理由、被相続人と申述人との関係性などについてで、法律的に考えて正当であり、合理的に書かれていなければいけません。

つまり、3ヶ月の期間が過ぎた後で、相続を放棄しなければならないやむを得ない事由が生じたことを、法的に証明するための文書を作成して、家庭裁判所の許可を得ることになります。
事情説明書の内容や記載に不備がなく、期限が過ぎた後に相続を放棄する特別な事情があると認められれば、家庭裁判所が相続放棄を受理するという流れです。

ただし、事情説明書に不備がある場合や、相続を放棄するためのやむを得ない事由が認められない場合は却下され、もう二度と申述を行なうことはできません。
文書の作成は専門家以外には困難であり、その上、慎重さも要求されるため、相続放棄の確実性を上げるためには専門家への依頼が一番です。

期限外の相続放棄が却下された場合

事情説明書を作成して家庭裁判所の申述を行ない、申述が却下された場合は、該当の相続人が相続すべき財産を全て相続することになります。
もちろん、借金や未払金などのマイナスの財産も、全て引き継がなければなりません。

相続を放棄したいというケースでは、借金などの負債が多く残されている場合が少なくありません。
他の法定相続人がいれば法定相続分で分割されますが、マイナスの財産が多い場合、他の法定相続人が既に相続を放棄しているという可能性も考えられます。
もしも、申述が却下された対象の人物が、ただ一人の法定相続人であった場合、借金などの負債を全て引き継がなければなりません。

相続放棄はまずは専門家に相談を

相続の放棄ができる期間は、自分が法定相続人であると知った日から3ヶ月以内であり、それ以降の相続放棄は特別な事情がない限り認めてもらえません。
また、やむを得ない特別な事情がある場合でも、事情説明書を作成し、家庭裁判所に対して申述を行なう必要があるため、専門家でなければ手続きは困難です。

しかも、申述は一度きりしか行なえないため、却下されればもう二度と申述を行なうことはできず、全ての財産を相続しなければならなくなります。
そのため、相続を放棄したい場合は、まずは相続専門の税理士など専門家に相談して、早めに手続きを行ないましょう。

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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