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2019年04月23日

相続税の基礎控除と税額控除について

相続税の基礎控除とは、相続した財産に対して税金が課せられない範囲の金額のことで、法定相続人の人数によって金額が決まります。
財産の金額が範囲内に収まらなかった場合でも、基礎控除額を財産の総額から差し引くことができるので、相続税の軽減のためには欠かせません。
また、その他さまざまな控除を適用させることができるため、相続の際によく把握して、節税効果を高めましょう。

相続税の基礎控除とは?

相続税の基礎控除とは、相続した遺産に対して税金が課せられない範囲の金額のことです。
財産を相続した場合、相続した財産の総額に対して税金が課せられるため、相続税として支払わなければなりません。
しかし、相続した財産に基礎控除を適用することで、支払わなければならない相続税を少なくすることが可能です。

もし、遺産が基礎控除の範囲内に納まっている場合、遺産を相続しても税金が課せられることはありません。
また、遺産が基礎控除の範囲内を越えている場合でも、税金の計算は基礎控除額を差し引いた金額で行なわれるため、財産を相続する際には必ず控除を受けることが可能です。
つまり、基礎控除の金額が大きくなればなるほど、支払う相続税が少なくなります。

基礎控除額の計算方法について

基礎控除額の計算方法は、次のとおりです。

基礎控除額 = 600万円 × 法定相続人の数 + 3,000万円

遺産の総額から差し引かれる金額を決めるのは、法定相続人の数です。
もし、法定相続人が2人であった場合、「600万円×2+3,000万円」で4,200万円が差し引かれ、法定相続人が4人であった場合、「600万円×4+3,000万円」で5,400万円が差し引かれます。

基礎控除額を正しく計算するためには、法定相続人の人数を間違えないことが最も重要です。

法定相続人とは?

法定相続人というのは、財産を相続する権利を持つ人のことで、民法によって定められています。
法定相続人には順位があり、定められている順位によって、相続できるかどうかが決まる仕組みです。

(1) 相続人の範囲
 死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
第1順位
 死亡した人の子ども
 その子どもが既に死亡しているときは、その子どもの直系卑属(子どもや孫など)が相続人となります。子どもも孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子どものほうを優先します。
第2順位
 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
 父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母のほうを優先します。
 第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
第3順位
 死亡した人の兄弟姉妹
 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子どもが相続人となります。
 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。

出典:国税庁:No.4132 相続人の範囲と法定相続分

法定相続人が相続を放棄した場合

法定相続人の順位が上の人物が相続を放棄した場合でも、基礎控除額の計算では法定相続人の人数に含めます。
実際に遺産を受け取らなかったとしても、計算をするときには相続しているものと仮定して計算します。
そのため、財産を相続する人物は、遺産を多く受け取ることができて、支払う相続税の金額も少なくなるということです。

被相続人に養子がいる場合

基本的に、養子は法定相続人になることができますが、法定相続人になれる人数は最大2人までです。
法定相続人になれる人数は、被相続人の実子の有無によって決まります。

被相続人に実子がいない場合は、養子2人までが法定相続人になれますが、被相続人に実子がいる場合は、養子1人までしか法定相続人になれません。

法定相続人以外の相続人がいる場合

遺言によって法定相続人以外の人物が財産を相続する場合は、受遺者という立場になるため、法定相続人に含めて計算をすることはできません。
受遺者を法定相続人として含めてしまうと、相続税の金額が予想よりも大きくなるため、注意が必要です。

代襲相続の場合

代襲相続とは子が親よりも先になくなった場合の相続のことです。
子が既に亡くなっており、子の親が亡くなった場合の相続では、孫が実子としての立場で法定相続人になります。
もちろん、法定相続人の1人として、計算式に含められます。

相続税で控除が適用される条件とは?

相続した財産から差し引くことができるのは、基礎控除だけではありません。
条件によって、さまざまな控除を受けることができるので、条件をよく把握して適用させれば、大幅に相続税を軽減させることができます。

100坪以内の土地を相続した場合

条件に合った土地を相続した場合に適用できる「小規模宅地等の特例」は、土地の評価額を80%も減額させることができるため、相続する財産の価値が減り、節税に大きな効果を発揮します。
特例に適用させられる土地の条件とは、次のとおりで、いずれにしても330平方メートル(約100坪)以内の土地でなければいけません。

・被相続人が居住していた自宅がある土地
・賃貸物件などで貸し付けている土地
・事業用として使用している土地
・同族会社の事業用として使用している土地

「小規模宅地等の特例」が適用できる場合は、土地の評価額を80%減額した状態で、相続する全ての財産の金額を計算してから、計算式に沿って相続税の金額を算出します。

配偶者が相続する場合

被相続人の配偶者である場合、節税に最も有利な「配偶者の税額の軽減」を適用させることができます。

「配偶者の税額の軽減」では、配偶者が相続した財産が1億6,000万円未満の場合は、1億6,000万円までが控除されます。
もし、相続した財産が1億6,000万円以上の場合は、配偶者の法定相続分の相当額までが控除の対象です。
つまり、相続した財産が1億6,000万円に満たなかった場合は、配偶者に相続税が課せられることはありません。

相続した財産が1億6,000万円を超えていた場合の「法定相続分」とは、民法によって定められている相続の取り分のことです。
配偶者の法定相続分は、被相続人の子どもや兄弟、父母の有無によって決まり、いずれもいない場合は相続できる財産総額の100%となりますが、子どもがいる場合は1/2、父母がいる場合は2/3、兄弟がいる場合は3/4と変化します。

ただし、「配偶者の税額の軽減」を適用させるためには、相続が始まったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、遺産分割を完了させていなければならず、内縁の妻は配偶者に該当しません。

未成年者が相続する場合

未成年者の相続人がいる場合は、「未成年者控除」として、未成年者が満20歳になるまでの年数に10万円を乗じた金額が控除されます。
10歳の相続人がいた場合は、満20歳になるまでの10年間に10万円を乗じた金額である100万円が相続税の金額から差し引かれます。
もし、未成年者の相続税額よりも控除額のほうが大きくなった場合は、余った分を、未成年者を扶養している人物の相続税額から差し引くことが可能です。

満20歳になるまでの年数の計算方法は、年齢が月途中であった場合、切り上げて考えられます。
例えば、10歳10ヶ月だった場合は、10歳として計算するため、10万円に乗じる年数は10年です。

未成年者控除が受けられる人には条件がありますが、日本に住所がある未成年者で、法定相続人であれば適用可能です。
ただし、以前に未成年者控除を受けていた場合は、相続税から差し引ける金額が制限される場合があります。

障害者が相続する場合

相続する人が障害者であって、85歳未満の人物であれば、「障害者控除」として、満85歳になるまでの年数に10万円を乗じた金額が相続税から控除されます。
また、特別障害者の場合は、満85歳になるまでの年数に20万円を乗じた金額が控除額です。
未成年者が相続する場合と同様に、相続税額よりも控除額のほうが大きくなった場合は、余った分を、障害者を扶養している人物の相続税から差し引くことができます。

障害者控除を受けるための条件は、日本国内に住所がある障害者で、法定相続人であることです。
ほとんどの条件は、未成年者が相続人である場合と変わりません。
以前に障害者控除を受けていた場合、差し引ける金額が制限される可能性があることも同じです。

過去10年以内に相続を受けた場合

過去10年以内に2回以上相続を受けていた場合には、「相次相続控除」として、1回目の相続税が控除されます。
差し引かれる金額の計算には、今回の相続税の金額、以前の相続で得た純資産価額、今回の相続で得た相続人全ての純資産価額合計、今回の控除対象となる人物の純資産価額、以前の相続から今回の相続までの期間の5つの情報が必要です。

適用させるための条件は、今回の相続から10年以内に相続を受けていて、全壊の相続の際に相続税を課されていることです。
もし、10年以内に相続を受けた人物が相続を放棄して、遺贈で財産を得た場合には、適用されないため注意してください。

外国にある財産を相続する場合

外国にある財産を相続して、日本国外で相続税に該当する税金を支払っている場合は、「外国税控除」を受けることができます。
控除を受けられる金額は、外国で支払っている税金の金額か、「海外の財産額 ÷ 相続人の相続財産額 × 相続税」で算出される金額のどちらか少ないほうです。

相続のときには適用される控除を知ることが大切

相続した財産に基礎控除を適用させると、相続する財産の金額を低くすることができるため、大幅に相続税を軽減させることができます。
基礎控除額は法定相続人の人数によって変化するため、正しい計算には法定相続人の正しいカウントが大切です。
また、その他にも適用できる控除は多く存在しているため、相続の際には適用される控除の内容や条件をよく把握すれば、大きな節税に繋がります。

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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