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2019年12月26日

贈与を行うにあたり、あるいは贈与を受けるにあたり、気を付けたいのが生前贈与加算です。生前贈与加算を理解しておかないと、予想外の相続税を課税される恐れがあります。このページでは、生前贈与加算の概要、対象、加算の範囲などを解説しています。気になる方は参考にしてください。

 

生前贈与加算とは何か

生前贈与加算は、相続が始まる前3年以内に被相続人から贈与を受けた場合、贈与を受けた財産の価格が相続税の課税価格に加算される規定です。財産の評価額は、相続が発生したときではなく贈与により財産を取得したときのものが用いられます。ちなみに、2重課税を避けるため、既に支払った贈与税額は相続税から控除できます。

 

生前贈与加算の対象者・非対象者

続いて、生前贈与加算の対象になる人、対象にならない人を解説します。

 

対象になる人

生前贈与加算の対象になるのは、相続あるいは遺贈で財産を取得した人です。相続が発生する3年前以内に亡くなった方から贈与を受けた方は、基本的に生前贈与加算の対象になると考えられます。

 

対象にならない人

相続、あるいは遺贈で財産を取得しなかった人は、相続が発生する3年前以内に亡くなった方から贈与を受けていても生前贈与加算の対象にはなりません。生前贈与の対象にならない人の例として、相続人にならない子の配偶者、孫などが挙げられます(この配偶者や孫であっても相続人になる場合は生前贈与加算の対象)。

 

生前贈与加算の範囲

生前贈与加算の対象がわかったところで気になるのが、生前贈与加算の範囲です。どのような贈与が加算の対象になるのでしょうか。

 

加算の対象になる贈与

相続が発生する前3年以内に行った贈与は、贈与税の有無にかかわらず生前贈与加算の対象になります。よって、基礎控除額110万以下の贈与(贈与税は課税されない)も生前贈与加算の範囲に含まれ、相続税を課税されます。同様に、相続が発生する年に行った贈与も生前贈与の範囲に含まれます。

 

加算の対象にならない贈与

次の4つ金額は、相続が発生する前3年以内の贈与であっても生前贈与加算の対象になりません。

 

1.贈与税の配偶者控除を受けたもの

贈与税の配偶者控除の適用を受けた金額は生前贈与加算の対象外になります。配偶者控除の適用を受ける主な条件は次の通りです。

・贈与の時点で婚姻期間が20年以上
・居住用不動産または居住用不動産を取得するための資金の贈与

贈与税の配偶者控除では、2000万円の配偶者控除を受けられます。

出典:国税庁:No.4452?夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm

 

2.直系尊属から住宅取得等資金を受けたもの

直系尊属から住宅所得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の対象となった金額も生前贈与加算の対象外になります。同制度の適用を受ける主な条件は次の通りです。

・父母や祖父母など、直系尊属からの贈与
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与を受けた資金で一定の要件を満たす住宅用の家屋を新築などする
・受贈者の年齢が20歳以上
・贈与を受けた年分の合計所得金額が2000万円以下

非課税限度額は家屋の種類などにより異なります。

出典:国税庁:No.4508?直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

 

3.直系尊属から教育資金の一括贈与を受けたもの

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税の対象となった金額のうち以下のものは生前贈与加算の対象外となります。

・贈与者が死亡した日に受贈者が23歳未満
・贈与者が死亡した日に受贈者が学校などに在学中
・贈与者が死亡した日に受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講中
・2019年4月1日より前に取得した信託受益権などの価額

なお、2019年4月1日以後に行われた贈与は残額に対し相続税が課税されます。

同制度の対象などは次の通りです。

・非課税限度額は1500万円(学校等以外は500万円)
・受贈者の年齢が30歳未満
・前年の合計所得金額が1000万円以下

出典:国税庁:No.4510?直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm

 

4.直系尊属からの結婚・子育て資金の一括活贈与を受けたもの

直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税の対象となった金額のうち、贈与者が死亡するまでに結婚・子育てに使った金額も生前贈与加算の対象外となります。

同制度の対象などは次の通りです。

・非課税限度額は1000万円(結婚費用は300万円)
・受贈者の年齢は20歳以上50歳未満
・前年の合計所得金額が1000万円以下

出典:国税庁:No.4511?直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4511.htm

 

生前贈与加算で注意したいポイント

最後に、生前贈与加算の注意点を解説します。

 

亡くなる前の贈与に注意

亡くなる前3年以内に相続財産を減らす目的で贈与を行っても、思うように相続財産を減らせません。相続財産が気になる場合は、早期から対策を立てる必要があります。

 

贈与は適切に行う

自己流で生前贈与を行うと、税務署に生前贈与と認めてもらえず相続税を課税されることがあります。贈与は適切に行う必要があります。心配な方は、税理士などに相談するとよいでしょう。

 

生前贈与加算の概要と対象を理解しておきましょう

相続が開始する前3年以内に贈与を受けた場合、贈与を受けた財産の価格が相続税の課税価格に加算されます。これを生前贈与加算といいます。生前贈与加算の対象となるのは、相続や遺贈で財産を取得した人です。贈与税の有無にかかわらず、相続税が課税される点に注意しましょう。

配偶者控除の対象になった金額などは対象外となります。生前贈与は、相続税額に大きな影響を与える可能性があります。心配な方は、税理士などに相談して対策を講じましょう。

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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