相続税は2年前の改正によって一般庶民にも課税される可能性が高まり、にわかに注目を浴びるようになりました。相続税が課税されるか否かのボーダーラインは基礎控除額より多くの相続財産があるかないかによって決まるのですが、2年前の改正によって、このボーダーラインである基礎控除の金額が大きく引き下げられることになったのです。すなわち基礎控除額が改正前からすると、6掛けとなり、算式をもって説明しますと5,000万円が6掛けとなったことから3,000万円となり、法定相続人×1,000万円の算式においても法定相続人×600万円へと引き下げとなりました。この相続税の改正は非常に大きなインパクトを持って伝えられ一般庶民であっても相続税対策を意識して生前贈与とはどういったものがあるのか等のセミナーの開催頻度が高まり、相続税の節税意識が急速に高まることとなったのです。相続が発生した、つまり被相続人が死亡した時から税金を確定させ納付するまでは10か月以内に行うことと定められていますが、改正前はこのような納税の期間もよく知られていないことが一般的でした。被相続人が亡くなっても、不動産やの登記手続きをそのまま放置し、あとから住宅等をリフォームしようとしたところ、被相続人から相続人へと不動産の名義が変更されておらず困るということも、いつかそのうちに相続手続きを行えばよいといった先送り的な発想があったからだと考えられます。相続が発生した場合、相続人間で話し合いを行い、相続人の意向によって遺産分割協議を行い財産を相続していくことになるわけですが、協議が成立していなくても、いわば税金を納付するために法定相続分を相続したものとして税金を納付し、ひとまず申告期限の問題をクリアしておくという相続の実務も存在しています。税金の納付と財産の分割は必ずリンクさせなければならないということではありません。すなわち財産が未分割の状態であったとしても、税金の納付はできますから、いったん税金を納付しておいて、後に相続人間でじっくりと話し合いを行ったうえで相続の持ち分の詳細を詰めたうえで各自の納税額を詳細に計算し直します。持ち分が確定した後は、相続人各人が修正申告を行い、正しい納税額を確定させ追納あるいは還付を受けるという手段をとることにより相続の案件を終結させることができるのです。こういった複雑でテクニカルな分野は素人が行うと間違いのもとになりますから、税の専門家である税理士に依頼するほうがベターだといえます。