正直、悪魔に魂売れば税金なんてゼロにできる。何も考えないで、何でもありなら、いくらでも税金なんて下げれます。
だけど、、、。
1.対策して将来親族でもめるもとになってしまわないか
2.税金を払えるだけのお金を残せるのか
3.税務署に対策し過ぎだと怒られないか
4.試算の内容はバランスが良いか
5.資産の贈与を絡めるなら、自然なストーリーを描けているのか
6.将来どんな状況下でも困らないと言えるのか
7.そもそも幸せを感じていただけるのか
他にもまだまだたくさん考えなきゃいけない。その中で2億の節税となると、見込まれていた税額にもよりますが、かなりのお仕事です。
今回は約3億超と見込まれた税額を1億まで下げました。よく世間では節税とか、生前対策とか言いますが。そもそも節税って何でしょうか。
税金を払うのがもったいないからやる?少しでも後に使えるお金を多くしたいとか?どうやって親を説得しよう、、、。
私が考える対策とはちょっと違います。私が思うに、生前対策とは
同じじゃないかと思うかもしれませんが、意味が全然違います。相続では、残された財産に税率を掛けて税金を計算し、国に払います。
その財産は、どのように築き上げられたものなのでしょうか。弊社では書面添付制度の適用を推奨しています。当然、蓄財の経緯や背景にある、亡くなられた故人の人生をヒヤリングしていきます。とても質素に、そして堅実に積み上げられた努力の結晶ばかりです。
また、高齢な方ほど戦争という地獄のような世界を生き、そして先祖の意思を継ぎ、財産を守り通してこられています。少し、私の祖父と祖母の話をします。
私が相続を専門に仕事をする原点となった存在です。
私の祖父母は信州の上田というところにいました。曾祖父(ひいおじいさん)は地主をしておりました。戦争で日本は負け、農地改革で田畑は地主から取り上げられ縮小。対象とならなかった畦道などは残るものの、全てを失う事になりました。
祖父は東京大空襲を運よく切り抜け、祖母のいる上田に戻るが、祖母もまた空襲で隣の家が吹き飛ぶというような辛く凄惨な状況を切り抜けて今93歳です。
数分前まで話をしていたお隣の方と別れ振り返った瞬間の出来事だったそうです。
裸一貫で出直し、必死で再度財産を築き上げても、今度はバブルへの突入と崩壊を経験。何とか守り抜くも、祖父の相続で争う続に。
結果、いつの間にか相続は不合理な結果となり、思い出の家も土地は壊して売られ、思い出の品はゴミとして処分され、預金はスポーツカーに変身してしまいました。
誰かが楽勝で生活できるようにするために、残した財産だったんでしょうか。赤いスポーツカーに変えてしまって良いものだったんでしょうか。
相続人が絶縁状態になっても知らないよとか、思ってたんでしょうか。
争う続はいつも、残された側の親族が発生源です。当たり前です。この今の世の中で、大金を目の前にしてもめない訳がない。
宝くじが当たったら、皆にも分けてあげるね!!実際に当たったら?分けるわけがないです。同じです。仮に相続人が仲が良くても、
その配偶者の方はどうでしょうか?周りに悪知恵を吹き込む人間がいたら?
2019年の7月にあった民法大改正では“ 持ち分ヤクザ ”みたいな輩も発生しています。分割協議が整ってなくても、
持分までなら登記できてしまう
という新ルールを逆手にとって借金の代わりに先に登記をさせて、住んでる人に持分を買わせるというような話。この場合は遺言があれば大丈夫なんですが。
先ず、伝えたい事があります。土地を見れば不動産屋は高く売れると吹き込み、お金があれば怪しい人が良い投資情報があると話を持ち掛けます。
自身の利益のみを追求した悪魔みたいなやつもいます。でも、良い人もいます。
巷には多くの情報が溢れ、生前対策は贈与がいいとか、収益物件の購入と借り入れで相殺し、節税しましょうとか、いろいろ言われています。
要は、その情報や聞いた話がどこまで信用できるのか。どこまで正しいのかを見極められるのかが大事なポイントです。
貴方が相談した方は、あなたの人生や家族、財産の歴史や背景を理解したうえで、相談に乗ってくれていますか?とても大事なことなので、もう一度問います。一番大事なことは何ですか?
欲に負けて、争う続に勝ったとしましょう。老いて人に頼らざる負えなくなった時、その時争った相手しかいなかったら、どうなるでしょうか。
助けてと、、、言えますか。
収益物件を借入て買い、“ 税金は安く済みますね ”となったとしましょう。でも、数年後に地価や近隣の状況、賃借人に不測の事態が発生し、物件自体の価値が落ち、空室が目立つようになってしまったら?
もしそうならなくても、預金のほとんどを不動産にしてしまっていたがために税金分の預金が残ってなかったら?
仮に1億の物件を相続人全員分用意していたとしましょう。何年も先の価値が同じだと思いますか?
納税も、相続財産価値の差も、基本は現金で納税し、調整です。因みに遺留分の支払いも基本的に現金です。申告期限は10ヶ月しかありません。この中で、売却を完了し、納税と申告を終えなきゃいけません。
ここで、直近3年で200件以上相続を見てきた私が、“ 分けれない・払えない ”の現場のリアルを、相続の基本的な流れと共に話しましょう。実際、亡くなられてから3カ月ほど経ってから動かれる方がほとんどです。
分割協議は基本的に相談を受けた後に財産目録を作成するので、更に3カ月程度かかります。話し合いがメインであるため、期間がどうしても生じます。
この時点でやっと取得者が決まるので、納税資金を確保するために不動産を売る、お金を借りるという行動に入れます。誰が取得するか分からないけど買ってくれないかなって話は、NGです。
更地渡し等の売買契約であれば、解体に更に1カ月近くかかるので、この時点で10カ月の期間の内7カ月分の相手選びと交渉の時間が無くなります。残り3カ月で高く買ってくれる方は見つかるでしょうか?
買いたたかれるか、不満の残る結果がほとんどです。もちろん、延納や物納といった方法もありますが、、、。前提として“ 資力を喪失してもなお支払いができない ”という状況になります。おまけに、国が認めてくれたらという話。
簡単に言うと、無い袖を振りまくっても払えない。全部差し出しても足らないという状況で初めて話ができます。特に、今は物納が認められることは少ないです。
うちの物件は良いとこだから大丈夫!!とてもよく聞く言葉です。確かにいい場所です。でも、売れる事と、期間内にスピーディーに現金化できることは違います。
財産の歴史や想いを理解し、未来の予測を立て、もしもに備えれる。財産も、資産組み換えが必要であれば預金、権利、不動産、保険、その他あらゆる形態に分散させて、短期・中期・長期といった期間の中で、収益を生むもの、換金性が高いもの、経済価値が守られるもの。
それらのバランスを意識したうえで、相続人の方や、その子供の将来にまで目を向け、できる限り困ることの無いであろうストーリーを考えぬく。
ここ大事。それでいて、納得のいく税額まで予定される税額を落とし込む。そこまで考えてこその、生前対策です。正直、寝る間も惜しんで働く気など微塵もありません。
ですが、お客様に何がしてあげれるだろうと考えているうちに、夕飯中も、トイレの中も、お風呂でもずっと考え続けてしまいます。最終的には、整髪料が染みるほど頭皮が痛くなる。
お年寄りになると、耳が少々遠い方もいらっしゃるので、真夏などは外で連絡を頂けば車の中で電話です。街の雑音で言葉が聞き取りづらいといけないので。もちろんエンジンはかけません。クーラーの音も邪魔です。
その中で2時間や3時間は当たり前です。(最高8時間超)それだけ困ってらっしゃるのだから、当然です。おかげ様で、真夏になると毎年一度は救急で病院送りになります。
因みに冬の方がちょっとだけマシですそれでも良いんです。私の生きる価値なのですから。全てをまとめ上げ、納品した瞬間のお客様の安心した顔を見ると良いチップを頂いたなと感じる瞬間です。
今回の生前対策は、そんな私の思いを全部詰め込んで、お客様も真剣に悩み、相談してくれたことで成しえた結果でした。
仕事が忙しいのに、物件を見に行ってくれたり、セミナーに参加してくれたり。疲れてるのに、夜提案の話を聞きに足を運んでくださったりと。頑張らない理由がどこにもないですよね。
因みに、生前対策料金は実際に相続が発生した場合に、申告を頼んでいただければ申告料金から差し引きます。なので、お客様次第では実質無料という事になります。
そんな風にお客様に寄り添うのが、我々税理士法人エール資産税部のスタイルです。