現金手渡しで生前贈与を行いたいと考えていませんか。贈与税や相続税の課税を考えると検討したくなりますよね。ここで気になるのが、税務署にばれる可能性や否認される可能性です。このページでは、現金手渡しで生前贈与を行うリスクと対処法を解説しています。贈与を検討中の方は確認しておきましょう。
目次
現金手渡しで生前贈与すれば課税されない?
相続税対策などで検討したいのが生前贈与です。現金手渡しであれば、相続税などを課税されないのでしょうか。
贈与が成立する要件をおさらい
現金手渡しのリスクを解説する前に、贈与が成立する要件を解説します。贈与は、贈与者が自己の財産を無償で与える意思を示し、受贈者がそれを受ける意思を示すことで成立します。贈与契約は、口頭でも書面でも成立します。
現金手渡しはばれる可能性が高い
現金手渡しで生前贈与を行いたいと考えている方の中には、贈与を行ったことを税務署に知られたくないと考えている方がいるはずです。現金手渡しであればばれないと思われがちですが、絶対にばれないわけではありません。相続時に多額の使途不明金があると、税務調査の対象になる可能性があるからです。税務調査が入ると、使途不明金の使い道などを確認されます。
生前贈与を認めてもらえない可能性
もちろん、税務調査で「生前贈与を行った」と説明することはできます。しかし、現金手渡しだと、その事実を証明することはできません。よって、税務署に生前贈与を認めてもらえない可能性が高くなります。この場合、相続税を課税される可能性などがあります。
生前贈与は銀行振り込みで行う
以上から、現金手渡しによる生前贈与はリスクが高くメリットがないといえます。正しく税金を納めるためにも、生前贈与は銀行振り込みで行いましょう。銀行振込であれば記録が残るので、お金の流れを説明・証明できます。
現金手渡しの生前贈与の場合は贈与契約書を作成する
基本的に、現金手渡しによる生前贈与はおすすめできませんが、何かしらの理由で現行振り込みを選択できないことがあるかもしれません。現金手渡しで生前贈与する場合は、贈与を行う前に贈与契約書を作成するなどの対策をとっておきましょう(現金手渡し以外の場合も作成)。
贈与契約書を作成することで、贈与者・受贈者双方の意思で贈与が行われたことを証明できます。贈与契約書はどのように作成すればよいのでしょうか。
贈与契約書の記載事項
贈与契約書は税理士などの専門家に依頼するほか、自分でも作成することができます。書式に決まりはありませんが、「誰が・誰に・何を・いつ・どのような条件で・どのように贈与するか」を記載する必要があります。
また、贈与者・受贈者双方の自筆での署名と押印(出来れば実印)、日付の記載が必要です。贈与や相続関連のウェブサイトの中には贈与契約書のテンプレートを無料で用意しているところがあるので、作成に不安を感じる方はこれらを利用するとよいかもしれません。
公証役場で確定日付を付与
贈与契約書の信頼性を高めるために行っておきたいのが、公証役場で確定日付を付与しておくことです。確定日付とは、公証人が日付のあるスタンプを書類に押すことで、その日に書類が存在したことを証明するものです。これにより、後から贈与契約書を作成したなどの疑いを避けることができます。
暦年贈与であれば年間110万円以下は非課税
生前贈与を行う前に押さえておきたいのが暦年贈与です。暦年贈与とはどのようなものなのでしょうか。
年間110万円まで非課税
暦年贈与とは、その年の1月1日~12月31日(暦年)に受けた贈与の価額から基礎控除額110万円を差し引き、贈与税を計算する課税方式(=暦年課税)です。この間に受けた贈与の価額が110万円以下であれば、贈与税は課税されません。
つまり、贈与税は110万円を超えた部分に対し課されるのです。贈与の価額が110万円を超える場合は贈与税を申告しなければなりません。
110万円は受贈者を基準に計算
基礎控除額の110万円は贈与者1人あたりではありません。受贈者1人あたり110万円の基礎控除が設けられているのです。よって、1月1日~12月31日までの間に2人以上から贈与を受けた場合や同じ人から複数回贈与を受けた場合は、それぞれの贈与の価額を合計します。合計額が110万円以下の場合は贈与税を課税されません。
110万円以下の場合も贈与契約書を作成
贈与の価額が110万円以下の場合も、贈与契約書を作成しましょう。贈与者・受贈者双方の意思で贈与を行ったことや何をどのように贈与したかなどが明らかになるからです。
現金手渡しでの生前贈与はリスク大!まずは贈与契約書の作成を
現金手渡しによる生前贈与は、相続時の税務調査でばれる可能性があります。税務調査で生前贈与であることを説明することはできますが、記録が残らないので証明はできません。よって、税務署に認めてもらえない可能性が高くなります。
税務署に認めてもらえないと相続税を課税されます。心配な方は、現金手渡しではなく銀行振り込みを選びましょう。いずれを選ぶにせよ、贈与契約書の作成は必須です。作成方法がわからない方や贈与税・相続税が気になる方は、お近くの税理士に相談してみてはいかがでしょうか。