遺言に関する本を読んだり、調べものをする中で「公証役場」という言葉を耳にするでしょう。
ですが、日ごと馴染みがないので、最寄りの公証役場がどこにあるかもわからないという方がほとんどです。
自身のこととして考えた場合も、遺言書を作成したものの、保管場所を家族に告げるべきか、生前に開封されるのは避けたいと色々と考えてしまうでしょう。
目次
公証役場とは?
公正証書と呼ばれる書面を作成する際の認証や保管を請け負う公的な機関です。
このような説明では、非常に難しく、敷居の高い機関に感じる事でしょう。
日々の生活の中で、具体的にどのような場面で活用するかというと
- ①遺言書の保管
- ②離婚における各種取り決め事項
- ③お金の貸し借りも
作成した遺言書の書式が法的に正しいものであるかを確認し、原本の保管を行います。
公正役場に保管されている事で、本人以外の加筆、修正等が出来ないという大きなメリットがあります。
離婚の際には、法的な離婚の成立だけでなく、それぞれで取り決めを行う場合もあります。この時に、書面で残すことはもちろんですが、お互いの取り決めだけでは、万が一、法廷で争うことになった場合、証拠が残らないという心配もあることでしょう。
このような場面でも、公正証書をいう書式で作成し、公正役場で認証を受けることで、正式な書面として認められるのです。
親しい間柄であっても、お金の貸し借りはトラブルになりがちです。場合によっては、まとまった金額を工面する場合や、数十年かけて分割での返済となる場合もあるでしょう。
借用書を作成しなければならない場合、公正証書で作成し、公正役場での認証を受けることをおすすめします。
お互いの覚書程度の借用書では、後々トラブルに発展した場合、真偽の証明が難しい場合もあるからです。
上記のような事例以外でも、正式な書面として残したい場合、第三者の認証を受けたい場合、原本を保管しておきたい場合などに、公正役場を活用します。
公正役場の利用にあたっては、相談は無料です。
各種認証や保管には所定の費用が生じますが、いずれも数千円~と想像以上に費用は手ごろですので、まずは相談を持ち掛けてみましょう。
公証役場はどこにあるの?
所在地に関しては、日ごろあまり意識する事がないので、意外に知られていませんが、全国に300か所あります。
東京都内であれば、霞ヶ関、日本橋、渋谷、神田、池袋、大森、新宿、文京、上野、浅草、丸の内、京橋、銀座、新橋、芝、麻布、目黒、五反田、世田谷、蒲田、王子、赤羽、小岩、葛飾、錦糸町、向島、千住、練馬、中野、杉並、板橋、麹町、浜松町 、八重洲、大塚、赤坂、高田馬場、昭和通り、新宿御苑前、武蔵野、立川、八王子、町田、府中、多摩の
計45か所が設けられています。
各公証役場のを探す方法
詳しい所在地は、法務省のHPもしくは、各自治体でも紹介されています。
それぞれの公証役場ごとのHPなどは特に開設されていませんので、詳しい受付時間などは直接電話での問い合わせがよいでしょう。
ただし、土日は原則休館となっています。
それぞれ手続きごとに、必要書類などが細かく決められていますので、スムーズに進めるためにも、事前の必要書類を確認したうえで、出向くとよいでしょう。
公証役場に守秘義務はある?
もちろん、重要書類を扱うのですから、守秘義務がありますので、ご安心を。
遺言書の場合であれば、たとえ親、子供であっても、本人の許可なく閲覧することは不可能な上に、本人が保管した遺言書を別の人物が勝手に持ち出すこともできません。
遺言を公証役場に託す場合には
相続に関するもめ事を防ぎ、遺された家族の円満な関係を維持するためにも、遺言は遺すべきとされています。
なかなか生前に、遺言の話題を持ち出すことは、家族でも気が引けることではありますが、折を見てそのような場を設けるとよいでしょう。
公正役場に遺言を託す場合には、事前に用意すべき書類があります。
- ①本人の印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- ②本人と相続人の名前が載っている戸籍謄本
- ③財産をもらう人が相続人以外の場合は、その住民票
- ④遺言の内容に土地・建物がある場合は、その登記簿謄本(又は登記済権利証)、納税通知書(又は評価証明書)
- ⑤不動産以外の財産は、それらを記載したメモ等
です。何度も足を運ぶとなると何かと負担になる事ですから、事前の必要書類の用意をしておくとよいでしょう。
遺言書を託す場合には、保証人2名、遺言書執行人を立てることが必要となります。
この点は、なかなか人選が難しい点でもありますが、法定相続人以外の方で信頼のおける人物に相談をし、引き受けていただけるよう相談をしておきましょう。
もちろん、公正役場へ託さなくとも、遺言書は効力を発揮します。ですが、万が一、急な病気で入院をしてしまうことや、一人暮らしの場合などには、遺言書の保管場所が伝わらず、遺言が実行されないケースも少なくはありません。生前に、遺言書をどのように扱うのかを一度考えておきましょう。
- 公証役場とは?
- 意外と身近な公証役場
- 遺言を公証役場に託す場合