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2025年10月06日

相続税還付という希望と税務調査という不安

相続税を納税された方の中には、実は税金を払いすぎているケースが驚くほど多く存在します。統計によると、相続税申告の実に7割以上で土地評価の見直しによる還付の可能性があるとも言われています。しかし、多くの方が「もう諦めていた」「還付請求をすると税務調査が来るのではないか」という不安から、正当な権利である還付請求を躊躇しているのが現実です。

本稿では、相続税還付請求の基本から、最も懸念される税務調査への対応方法まで、専門的な視点から詳しく解説します。特に、還付請求の成功の鍵となる「土地評価」の重要性と、税務調査を乗り切るための具体的な対策について、実務経験に基づいた実践的な情報をお伝えします。

第1章:相続税還付の基本メカニズムと可能性

1-1. 相続税還付とは何か

相続税還付とは、過去に納税した相続税について、申告内容を見直した結果、税額が過大であったと判明した場合に、払いすぎた税金(過誤納金)を国から取り戻す手続きです。この制度は、納税者の正当な権利として税法で保障されており、過去5年以内に相続税を納税した方であれば、誰でも還付請求を行うことが可能です。

還付が発生する主な理由は、当初の相続税申告において、財産評価、特に土地評価が適切に行われていなかったケースがほとんどです。相続税申告は非常に複雑で専門性が高い分野であり、一般的な税理士でも相続税に精通していない場合、評価の見落としや計算誤りが発生することが珍しくありません。

実際、税理士全体の中で相続税申告を年間10件以上扱う事務所は全体の1割程度と言われており、多くの税理士にとって相続税申告は「たまに扱う業務」となっているのが実情です。このような背景から、専門性の高い税理士による見直しで、還付の可能性が発見されることが多いのです。

1-2. なぜ土地評価が還付の鍵となるのか

相続税還付の可能性の鍵は、ズバリ「土地評価」にあります。土地は相続財産の中でも高額になることが多く、その評価方法によって相続税額が大きく変動します。また、土地評価は財産評価基本通達に基づいて行われますが、その適用には高度な専門知識と経験が必要です。

土地評価が複雑になる理由はいくつかあります。まず、土地には一つとして同じものがなく、それぞれに個別の特性があります。形状、接道状況、都市計画法上の制限、周辺環境など、評価に影響を与える要素は多岐にわたります。これらの要素を適切に評価に反映させるためには、現地調査を含む綿密な分析が必要です。

一般的な税理士が路線価を用いて形式的に評価を行った場合、以下のような減額要素が見落とされがちです。不整形地補正、間口狭小補正、奥行長大補正、がけ地補正、高圧線下の土地の評価減、市街化調整区域内の雑種地評価、セットバックが必要な土地の評価減、土壌汚染地の評価減、賃貸借契約がある土地の評価減など、これらの減額要素を適切に適用することで、土地評価額を大幅に引き下げることが可能となります。

1-3. 還付金額の規模と成功率

還付金額は、ケースによって大きく異なりますが、数百万円から数千万円の還付が実現することも珍しくありません。特に、都市部の土地や広大な土地を相続した場合、還付金額が1億円を超えるケースもあります。

成功率については、専門的な税理士による事前診断を経て還付請求を行った場合、8割以上の高い成功率を誇ります。ただし、これは適切な評価見直しと、税務調査に耐えうる論理的な根拠を持って請求を行った場合の数値であり、安易な還付請求は却下されるリスクがあることも認識しておく必要があります。

第2章:還付請求に伴う税務調査のリスクと実態

2-1. なぜ還付請求で税務調査が入るのか

還付請求(更正の請求)は、納税者側から「以前の申告は間違っていたので税金を返してください」と主張する手続きです。税務署側からすると、一度徴収した税金を返還することになるため、その主張が正当なものであるかを慎重に審査する必要があります。

税務署は還付請求を受けると、まず書面審査を行います。提出された資料や根拠が明確で、法的に問題がない場合は、書面審査のみで還付が認められることもあります。しかし、評価減の根拠が複雑な場合や、金額が大きい場合は、実地調査を含む税務調査が行われる可能性が高くなります。

税務調査の実施率は、還付請求金額や内容によって異なりますが、一般的に還付金額が500万円を超える場合は、何らかの形で税務署からの確認が入る可能性が高いと考えておくべきです。ただし、これは必ずしも本格的な税務調査を意味するわけではなく、電話での簡単な確認や、追加資料の提出要請で済むケースも多くあります。

2-2. 税務調査で問われる主なポイント

還付請求に伴う税務調査では、主に以下のような点が確認されます。

第一に、評価減の根拠の妥当性です。なぜ当初の申告でこの減額要素が見落とされていたのか、新たに主張する評価減の根拠は客観的に認められるものなのか、といった点が詳細に検証されます。特に土地評価については、現地の状況確認や、評価基準日時点での状況について質問されることがあります。

第二に、申告全体の整合性です。還付請求は土地評価の見直しが中心となることが多いですが、税務調査では相続税申告全体が調査対象となる可能性があります。過去の生前贈与、名義預金、相続財産の計上漏れなど、当初申告で見落とされていた問題がないかもチェックされます。

第三に、還付請求の動機と経緯です。なぜこのタイミングで還付請求を行うのか、誰のアドバイスで請求に至ったのか、といった背景事情も確認されることがあります。これは、還付請求が適正なものであるかを判断する材料の一つとなります。

2-3. 税務調査のリスクと対策の必要性

税務調査の最大のリスクは、還付が認められないだけでなく、逆に追徴課税を受ける可能性があることです。例えば、土地評価の見直しで1,000万円の還付を請求したものの、税務調査の過程で相続財産の計上漏れが2,000万円発見された場合、差し引き1,000万円の追徴課税を受けることになります。

また、過少申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性もあります。特に、意図的な財産隠しと認定された場合は、重加算税が課されることもあり、本税の35%という重いペナルティとなります。

このようなリスクを回避するためには、還付請求を行う前に、当初申告の内容を総合的に見直し、潜在的なリスクを洗い出しておくことが重要です。また、還付請求書の作成においても、税務署の視点を理解し、調査を誘発しないような慎重な書き方が求められます。

第3章:税務調査を乗り切るための実践的対策

3-1. 専門家の選定と体制構築

税務調査を成功裏に乗り切るためには、適切な専門家の選定が最も重要です。理想的なのは、相続税申告の経験が豊富で、かつ税務調査対応の実績がある税理士事務所です。

特に効果的なのは、元国税職員が在籍している事務所です。元国税OBは、税務署がどのような点に着目し、どのような資料を要求し、どのような質問をするかを熟知しています。この内部知識を活用することで、調査官の思考パターンを予測し、的確な対応が可能となります。

また、土地評価については不動産鑑定士との連携も重要です。税理士による評価だけでなく、不動産鑑定士による鑑定評価書を取得することで、評価の客観性と信頼性を高めることができます。特に、複雑な評価減を主張する場合は、専門家による裏付けが説得力を持ちます。

体制構築においては、税理士、不動産鑑定士、必要に応じて弁護士や司法書士なども含めた専門家チームを組成し、多角的な視点から還付請求と税務調査対応を行うことが理想的です。

3-2. 還付請求書の戦略的作成

税務調査を回避する、または調査が入っても問題なく乗り切るためには、還付請求書の作成段階から戦略的なアプローチが必要です。

まず重要なのは、評価減の根拠を明確かつ詳細に記載することです。単に「不整形地だから減額する」というような簡単な記載ではなく、具体的な測量データ、写真、図面などを添付し、なぜその減額が妥当なのかを論理的に説明する必要があります。

次に、当初申告との差異について、合理的な説明を準備することです。「なぜ当初申告では気づかなかったのか」という質問に対して、説得力のある回答を用意しておく必要があります。例えば、「当初は相続直後で時間的制約があった」「専門的な土地評価の知識が不足していた」などの理由を、具体的な事実関係とともに説明できるようにしておきます。

また、還付請求書には必要最小限の情報のみを記載し、余計な情報で税務署の疑念を招かないよう注意することも重要です。特に、グレーゾーンの論点については、慎重な判断が求められます。

3-3. 証拠資料の準備と管理

税務調査において最も重要なのは、主張を裏付ける証拠資料の存在です。還付請求を行う前から、体系的に資料を収集・整理しておく必要があります。

土地評価に関しては、以下のような資料が重要となります。現地写真(複数の角度から撮影)、公図・測量図、都市計画図、道路台帳、建築計画概要書、不動産鑑定評価書、近隣の取引事例、賃貸借契約書(該当する場合)などです。これらの資料は、評価基準日時点の状況を証明できるものである必要があります。

また、相続財産全体に関する資料も整理しておく必要があります。預金通帳(過去5年分以上)、不動産登記簿謄本、株式の取引報告書、生命保険証券、贈与契約書・贈与税申告書などです。これらは、税務調査で追加的に確認される可能性がある事項に対応するために必要です。

資料管理においては、デジタル化して検索可能な状態にしておくことも重要です。税務調査では、調査官から特定の資料を求められることがあり、迅速に提出できる体制を整えておくことで、調査をスムーズに進めることができます。

第4章:税務調査の実際の流れと対応方法

4-1. 税務調査の通知から準備まで

税務調査の通知は、通常、電話または書面で行われます。還付請求後、数か月から1年程度で連絡が来ることが多いですが、場合によっては2年以上経過してから調査が入ることもあります。

調査通知を受けたら、まず冷静に対応することが重要です。慌てて不適切な対応をすることは避け、速やかに顧問税理士に連絡を取ります。調査日程については、準備期間を確保するため、通常は2〜3週間後に設定することが可能です。

準備期間中は、想定される質問事項のリストアップと回答の準備、必要資料の再確認と整理、関係者(相続人など)への連絡と打ち合わせ、税理士との綿密な打ち合わせなどを行います。特に重要なのは、税理士と納税者の間で、事実関係の認識を統一しておくことです。

4-2. 調査当日の対応

税務調査当日は、通常、午前10時頃から始まり、午後4時頃まで行われます。調査官は通常2名で訪問し、1名が主担当、もう1名が補助という体制が一般的です。

調査は、まず概況聴取から始まります。被相続人の経歴、職業、収入状況、家族構成、相続の経緯などが確認されます。この段階では、事実を正確に、簡潔に答えることが重要です。余計な情報を話すことは避け、聞かれたことに対してのみ回答するよう心がけます。

次に、還付請求の内容について詳細な質問が行われます。土地評価の減額根拠、評価方法の選択理由、現地の状況確認などが中心となります。この際、準備した資料を示しながら、論理的に説明することが重要です。

調査官から指摘事項がある場合は、その場で反論するのではなく、一旦持ち帰って検討する旨を伝えることも重要です。感情的にならず、冷静かつ丁寧な対応を心がけることで、調査官との良好な関係を維持できます。

4-3. 調査後の対応と交渉

調査当日で全てが終わることは稀で、通常は追加資料の提出要請や、確認事項の問い合わせが続きます。これらには迅速かつ誠実に対応することが重要です。

調査官から修正申告の要請があった場合は、その根拠を詳細に確認し、税理士と相談の上で対応を決定します。全ての指摘を受け入れる必要はなく、法的に争える余地がある場合は、交渉することも可能です。

交渉においては、税法の条文、通達、判例などを根拠に、論理的に主張することが重要です。感情論ではなく、法的根拠に基づいた議論を行うことで、調査官も納得しやすくなります。

最終的に、調査結果に基づいて還付額が確定します。当初の請求額から減額される場合もありますが、適切な対応により、多くのケースで相当額の還付を受けることが可能です。

第5章:成功事例から学ぶ還付請求のポイント

5-1. 土地評価見直しによる大型還付事例

ある事例では、都内の商業地を相続した方が、当初申告で3億円の相続税を納税していました。しかし、専門家による見直しの結果、以下の評価減要素が発見されました。

土地の一部が高圧線下にあり、建築制限があったこと、不整形地であり、有効利用が困難であったこと、一部が私道として使用されており、評価減の対象となること、地中に埋設物があり、除去費用相当額の評価減が可能であることなどです。これらの要素を適切に評価に反映させた結果、土地評価額が40%減額され、約8,000万円の還付を受けることができました。

この事例の成功要因は、現地調査を徹底的に行い、見落とされていた評価減要素を発見したこと、不動産鑑定士による鑑定評価書を取得し、客観性を担保したこと、高圧線の管理者から建築制限に関する正式な文書を取得したこと、地中埋設物の除去費用について、専門業者から見積書を取得したことなどが挙げられます。

5-2. 税務調査を乗り切った事例

別の事例では、還付請求後に税務調査が入りましたが、適切な対応により、請求額の9割以上の還付を受けることができました。

この事例では、農地の評価見直しにより2,000万円の還付請求を行いましたが、税務署から「農業を継続する意思がない」として、評価減を認めない方向での調査が行われました。

しかし、以下の対応により、主張が認められました。被相続人の農業経営の実態を、過去の確定申告書や農業収支内訳書で証明、相続人が農業を継続している証拠として、農業委員会の証明書を提出、近隣農家からの証言を得て、農地として適正に管理されていることを証明、税理士が過去の判例を示し、法的根拠を明確に主張したことです。

この事例から学ぶべきは、主張を裏付ける客観的証拠の重要性と、専門家による法的根拠に基づいた交渉の有効性です。

5-3. 複雑な相続における還付成功事例

相続人が20名を超える複雑な相続において、遺産分割協議の見直しと合わせて還付請求を行い、成功した事例もあります。

この事例では、当初申告時に時間的制約から簡易的な評価を行っていましたが、以下の工夫により還付を実現しました。全相続人の同意を得て、還付金の分配方法を事前に決定、遺産分割協議のやり直しにより、小規模宅地等の特例を最適に適用、複数の土地について、利用状況に応じた個別評価を実施、共有持分の評価について、より実態に即した評価方法を適用しました。

結果として、3,500万円の還付を受けることができ、相続人全員が納得する形で分配されました。この事例は、複雑な相続であっても、適切な専門家のサポートがあれば、還付請求が可能であることを示しています。

第6章:還付請求を成功させるための具体的行動ステップ

6-1. 還付可能性の診断

還付請求を検討する第一歩は、還付可能性の診断を受けることです。多くの専門事務所では無料診断を提供しており、リスクなく可能性を確認できます。

診断に必要な資料は、相続税申告書及び添付資料一式、固定資産税評価証明書、不動産登記簿謄本、公図・地積測量図などです。これらの資料を基に、専門家が還付可能性と概算還付額を算定します。

診断のポイントは、土地の個数と評価額(土地が多いほど、評価額が高いほど還付可能性が高い)、土地の特殊性(不整形地、無道路地、傾斜地など)、当初申告を行った税理士の専門性、申告からの経過期間(5年以内であることが必要)などです。

6-2. 専門家の選定基準

還付請求を依頼する専門家の選定は、成功の可否を左右する重要な決定です。以下の基準で選定することをお勧めします。

相続税申告の実績が豊富であること(年間100件以上が望ましい)、還付請求の成功実績があること、元国税職員や不動産鑑定士などの専門家と連携できること、税務調査対応の経験が豊富であること、料金体系が明確で、成功報酬制を採用していること、初回相談が無料で、丁寧な説明を受けられること、全国対応が可能で、アクセスが良いことなどです。

特に重要なのは、成功報酬制の採用です。還付額の20〜30%程度が一般的な報酬額ですが、還付がなければ報酬も発生しないため、リスクを最小限に抑えることができます。

6-3. 還付請求から入金までの流れ

還付請求の具体的な流れは以下の通りです。

まず初回相談と無料診断を行います(1〜2週間)。次に正式契約と着手金の支払い(通常は少額または無料)を行います。詳細調査と評価の見直しには1〜2か月かかります。更正の請求書を作成し提出します(2〜3週間)。税務署での審査期間は3〜6か月程度です。必要に応じて税務調査対応を行います(1〜2か月)。最後に還付金の入金と成功報酬の支払いという流れになります。

全体では6か月から1年程度かかることが一般的ですが、案件の複雑さや税務調査の有無により、期間は前後します。

勇気を持って一歩を踏み出すために

相続税の還付請求は、正当な権利の行使であり、決して後ろめたいことではありません。税務調査のリスクを恐れて還付請求を諦めることは、本来取り戻せるはずの財産を放棄することに他なりません。

確かに、税務調査は精神的な負担を伴いますが、適切な専門家のサポートがあれば、多くの場合、問題なく乗り切ることができます。重要なのは、信頼できる専門家を選び、十分な準備を行うことです。

還付請求の成功は、単に金銭的なメリットだけでなく、適正な納税を実現したという満足感ももたらします。また、還付金は相続人全員で分配されることが多く、家族全体の利益にもつながります。

過去5年以内に相続税を納税された方は、まずは無料診断を受けてみることをお勧めします。診断の結果、還付の可能性が低い場合でも、将来の相続に向けた対策のアドバイスを受けることができます。

最後に強調したいのは、時間的な制約です。還付請求ができるのは、相続税の申告期限から5年以内という期限があります。この期限を過ぎると、どんなに還付の可能性があっても、請求することができません。「いつかやろう」と思っているうちに期限が過ぎてしまうケースも多いため、思い立ったらすぐに行動することが重要です。

相続税還付は、専門知識と経験を持つプロフェッショナルのサポートにより、高い確率で成功させることができます。税務調査のリスクも、適切な対策により最小限に抑えることが可能です。払いすぎた税金を取り戻すチャンスを、ぜひ活かしていただきたいと思います。

代表プロフィール

税理士法人エール名北会計代表税理士
石曽根祐司

税理士法人エール名北会計で、相続に寄り添えるサービスを考え
生前対策や相続税申告だけでなく
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人
相続登記など、様々な相続事案に対応

エール名北会計に頼めば
相続に関するすべてを解決できるサービスを提供している

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