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2026年01月18日

相続税の生前対策|家族信託の仕組みと安全性のポイントを基礎から解説

家族信託は「相続税そのものを直接安くする制度」ではなく、認知症や将来の相続に備えて財産管理・承継を柔軟にコントロールすることで、間接的に相続税対策をしやすくする仕組みです。

結論として、相続税の生前対策として家族信託を活用する場合は、「誰がどの財産をどう管理し、誰にどの順番で承継させるか」を契約で細かく決めることで、資産凍結を防ぎつつ、生前贈与や不動産対策など他の相続税対策を安全に実行しやすくなる点が最大のメリットになります。

家族信託とは、自分の財産を信頼できる家族に「信託財産」として預け、その家族に管理・運用・承継までを任せる仕組みであり、認知症による資産凍結や遺言だけではカバーしきれない承継設計を補う生前対策です。

一言で言うと、「相続税そのものを減らす制度ではないが、相続税対策を予定通り実行し続けるための”財産管理プラットフォーム”」が家族信託だとイメージしていただくと分かりやすくなります。


この記事のポイント

  • 家族信託は「委託者・受託者・受益者」の三者で財産管理のルールを決める仕組みであり、本人の判断能力が低下しても契約どおりに資産を管理・運用できます。
  • 相続税を直接減らす効果はありませんが、認知症による資産凍結を防ぎ、生前贈与・不動産の組み替え・生命保険活用などを計画通りに続けられる点で、間接的な相続税対策になります。
  • 安全に家族信託を使うには、「受託者の負担と権限バランス」「信託できない財産」「税務上の取扱い(贈与税・相続税)」といったリスクを事前に理解し、専門家と一緒に設計することが重要です。

今日のおさらい:要点3つ

  1. 節税スキームではなく資産管理の仕組み
    家族信託は「節税スキーム」ではなく「資産管理と承継設計の仕組み」。
  2. 相続税対策を止めずに続けられる
    認知症になっても資産を動かせるため、相続税対策(生前贈与・不動産活用など)を止めずに続けられる。
  3. 安全性の3つのカギ
    安全性のカギは、「誰を受託者にするか」「どこまで権限を与えるか」「税務の前提を押さえておくか」の3点。

この記事の結論

  • 家族信託は相続税額を直接下げる制度ではありませんが、認知症リスクや遺産分割トラブルを抑えながら、計画的な相続税対策を実行しやすくする生前対策の一つです。
  • 仕組みの基本は「委託者(財産の持ち主)」「受託者(管理を任される家族)」「受益者(利益を得る人)」の三者関係と、信託契約書で決める具体的な管理・承継ルールです。
  • 結論として、相続税の生前対策として家族信託を検討する際は、「節税狙い」ではなく「認知症・二次相続・家族関係」を含めた長期の資産管理設計として、専門家と一緒に安全性と費用対効果を確認することが最も大事なポイントです。

家族信託の仕組みは?相続税の生前対策として何ができるのか

結論として、家族信託は「家族に財産の管理と処分を託す契約」であり、生前から死亡後・二次相続までを見据えた資産の流れを設計できる仕組みです。

家族信託の基本構造(委託者・受託者・受益者)

一言で言うと、家族信託は次の三者で成り立つ契約です。

  • 委託者: 自分の財産を「信託財産」として託す人(多くはご本人)
  • 受託者: 託された財産を管理・運用する家族(子どもなど)
  • 受益者: 信託財産から利益を受ける人(多くはご本人、生前は本人・死亡後は子どもなどに変更可)

委託者が「自宅と預金の管理を長男に任せ、配当や家賃収入はこれまでどおり自分が受け取る」といったルールを信託契約書に定めることで、名義を動かしつつ実質的な利益やコントロールの流れを柔軟に設計できます。

家族信託の三者関係イメージ

役割 誰がなるか 主な権限・役割
委託者 財産の持ち主(親など) 信託契約の設計・信託財産の拠出
受託者 信頼できる家族(子など) 財産の管理・運用・処分の実行
受益者 利益を受ける人(本人→子など) 家賃収入や売却代金などの受取

遺言との違いと相続税対策上の位置づけ

遺言は「死後に効力が生じる指示書」ですが、家族信託は「生前から効力を持つ財産管理契約」です。

そのため、認知症などで判断能力が低下した後も、受託者が契約に基づいて不動産の売却・修繕・賃貸・資産の組み替えなどを行える点が大きな違いです。

一言で言うと、「相続税の節税そのものは生前贈与や不動産・生命保険が担当し、家族信託はそれらを止まらずに続けられるよう土台を整える役割」を担います。

家族信託・遺言・成年後見の比較表

項目 家族信託 遺言 成年後見
効力発生時期 契約締結時(生前から) 死亡後 判断能力低下後
認知症後の財産管理 可能 不可 可能(制限あり)
二次相続以降の指定 可能 不可 不可
不動産の売却・活用 柔軟に可能 死後のみ 家庭裁判所の許可が必要
相続税対策の継続 可能 不可 困難
身上監護(介護等) 不可 不可 可能
費用 初期費用あり 比較的安価 継続的な報酬が必要

家族信託で相続税は直接減るのか?

多くの方が誤解しやすい点ですが、家族信託を組んだからといって、課税価格や税率の仕組みが優遇されるわけではありません。

信託財産は原則として「委託者(あるいは受益者)の財産」とみなされ、信託契約の途中であっても、死亡時の受益権や信託財産の帰属先に対して、通常の相続税が課税されます。

最も大事なのは、「家族信託=節税スキーム」ではなく、「節税を含めた相続対策を計画どおり実行するための管理の器」と理解しておくことです。


相続税の生前対策|家族信託は何に役立つ?具体的な活用場面と安全性

結論として、家族信託が真価を発揮するのは「認知症リスク」「二次相続」「複数の相続人への分配」を見据えた長期の資産管理・承継設計です。

認知症による資産凍結を防ぎ、対策を継続できる

一言で言うと、「認知症になると銀行も不動産も動かしにくくなる」問題を避けられるのが家族信託です。

通常、本人の判断能力が失われると、口座凍結や不動産売却の難化により、生前贈与や不動産の組み替えといった対策が行えなくなります。成年後見制度を利用する手もありますが、使途が生活費中心に制限されやすく、積極的な相続税対策には向きません。

家族信託であれば、元気なうちに「将来こういう場面ではこう動かす」というルールを決め、受託者に裁量を与えておくことで、本人が認知症になっても賃貸経営・売却・建て替え・生前贈与のサポートなどを継続しやすくなります。

認知症発症時の対応比較

状況 家族信託あり 家族信託なし
預金の引き出し 受託者が信託口座から可能 口座凍結の可能性
不動産の売却 受託者が契約に基づき可能 成年後見の申立てが必要
賃貸物件の管理 受託者が継続して対応可能 管理・修繕の判断が困難に
生前贈与の継続 信託契約の範囲内で可能 原則として不可能
アパート建築・建て替え 受託者の判断で可能 原則として不可能

二次相続・三次相続まで見据えた承継設計

家族信託では、「最初は配偶者、その後は子ども、その次は孫へ」といった形で、受益者の順番をあらかじめ決めておくことができます。

例えば、「夫→妻→長男→長男の子」といった多段階の承継を設計し、「妻が再婚した場合でもこの財産は子どもに確実に渡したい」といった意向を反映させることも可能です。

相続税自体は各段階ごとに課税されますが、「どの世代で誰がどの財産をどれだけ持つか」をコントロールしやすくなり、生前贈与・生命保険・不動産対策との組み合わせで、世代をまたいだ相続税負担の平準化にもつながります。

受益者連続型信託の活用例

【承継の流れ】
委託者(父)
    ↓ 信託設定
第一受益者:父(生存中は自分が利益を受ける)
    ↓ 父の死亡
第二受益者:母(父の死後は母が利益を受ける)
    ↓ 母の死亡
第三受益者:長男(母の死後は長男に財産が帰属)

不動産共有によるトラブルを防ぎつつ収益を分配できる

家族信託では、不動産の名義を受託者1人に集中させながら、家賃収入などの利益は複数の受益者に分配する設計もできます。

一言で言うと、「管理は代表者1人に、利益はきょうだいで平等に」という設計ができるため、不動産の共有名義による売却・修繕の意思決定の遅れや、名義人が増えすぎることによるトラブルを避けやすくなります。

結果として、不動産の賃貸・売却を柔軟に行いながら、相続税評価のコントロールや納税資金の確保もしやすい土台を作ることができます。


家族信託を検討する際の注意点とリスク

家族信託は万能ではありません。以下の点に注意が必要です。

信託できる財産・できない財産

信託できる財産 信託できない財産
現金・預貯金 年金受給権
不動産(土地・建物) 農地(原則)
株式・有価証券 預貯金債権(銀行による)
自社株 生命保険の契約者の地位
賃貸物件 借入金(債務)そのもの

家族信託を検討すべき人チェックリスト

以下に当てはまる項目が多いほど、家族信託の検討価値があります。

  • 認知症になった場合の財産管理が心配
  • 賃貸物件やアパートを所有している
  • 不動産を複数所有しており、将来の売却・組み替えを考えている
  • 二次相続・三次相続まで財産の行き先を決めておきたい
  • 子どもたちで不動産を共有させたくない
  • 障がいのある子どもに財産を残したい
  • 再婚しており、前妻・後妻の子どもがいる
  • 事業承継と相続対策を同時に進めたい

家族信託の費用目安

項目 費用目安
信託契約書作成(専門家報酬) 30万円〜100万円程度
公正証書作成費用 3万円〜10万円程度
不動産の信託登記(登録免許税) 固定資産税評価額の0.3〜0.4%
信託登記の司法書士報酬 5万円〜15万円程度

※財産の内容や複雑さによって大きく変動します。


よくある質問

Q1. 家族信託は相続税対策として有効ですか?

A. 相続税額を直接減らす効果はありませんが、認知症やトラブルで対策が止まるリスクを減らし、生前贈与や不動産活用を継続しやすくする点で間接的な相続税対策になります。

Q2. 家族信託をすると相続税が安くなりますか?

A. 家族信託だけでは課税価格は変わらないため、相続税額自体は原則変わりませんが、その枠組みの中で生前対策を行うことで結果として税負担を抑えられる可能性があります。

Q3. 家族信託は成年後見制度の代わりになりますか?

A. 財産管理には有効ですが、身上監護(介護・医療の同意など)は含まれないため、成年後見と役割が異なります。

Q4. 家族信託は安全ですか?トラブルはありませんか?

A. 設計次第で安全性は高められますが、受託者の負担・権限集中・信託できない財産・税務リスクなどに配慮しないとトラブルにつながる可能性があります。

Q5. 家族信託と生前贈与はどちらが良いですか?

A. 生前贈与は課税財産を減らす節税策、家族信託は管理と承継ルールを整える仕組みであり、目的が違うため、併用してバランスを取るケースが多いです。

Q6. 家族信託の手続きは難しいですか?

A. 信託契約書の作成や不動産登記、税務の整理など専門的な要素が多いため、信託や相続に詳しい専門家と進めるのが現実的です。

Q7. どのような人が家族信託を検討すべきですか?

A. 認知症リスクを心配している方、不動産や賃貸物件を複数持つ方、二次相続・三次相続まで承継順序を決めたい方などに向いています。


まとめ

  • 家族信託は、「委託者・受託者・受益者」の三者関係で生前から財産管理と承継ルールを決める仕組みであり、相続税そのものを直接減らす制度ではありません。
  • 一方で、認知症による資産凍結を防ぎ、生前贈与・不動産活用・生命保険などの相続税対策を計画どおり続けられる点で、間接的な相続税の生前対策として大きな効果を発揮します。
  • 結論として、家族信託は「節税テクニック」ではなく、「家族の将来と相続税対策を支える資産管理の土台」として、安全性や費用対効果を専門家と確認しながら検討すべき生前対策です。

家族信託を始める前の3ステップ

  1. 現状把握:財産の種類・家族構成・将来の希望を整理する
  2. 専門家への相談:信託・相続に詳しい専門家に相談し、適切かどうか判断する
  3. 他の対策との組み合わせ:生前贈与・生命保険・遺言など他の対策とセットで設計する

代表プロフィール

税理士法人エール名北会計代表税理士
石曽根祐司

税理士法人エール名北会計で、相続に寄り添えるサービスを考え
生前対策や相続税申告だけでなく
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人
相続登記など、様々な相続事案に対応

エール名北会計に頼めば
相続に関するすべてを解決できるサービスを提供している

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