ある日のこと…
面会の約束をしていたAさんが事務所にいらっしゃいました。
―ガチャッ
遺産の問題は残されたままで
どうしたらいいのか…
もう…私達だけではどうにも…!!
依頼主Aさんの話によると…
生前、父親が認知症になりつつあったころに
愛人なのではないか?という女性の影と
もしかしたら隠し子もいるのではないか?
と思うような節が何度かあったそうです
父親を問い詰めても
そんなものはおらん!の一点張りだったそう。
けれども
父親は週に1度は愛人の家に行くし、
お金を渡しているようだった。
そのことを家族はなんとなく黙認しているだけでした。
そして、父が亡くなってから
(生前父は絶対違うと言っていたが…)
相手(愛人)の子の認知の請求をしたところ
なんと、DNA鑑定で兄弟がいることが判明
さらに父親は生前そのことをバレたくなったので
実は家族に内緒で
相手方にこっそり3~4千万を
現金で渡していたことも判明しました。
(父がなくなってから通帳等を確認したところやはりかなり使われていたそう…)
しかし、相手(愛人)側はそれでは収まらず、
父親が亡くなる直前にだんだんお金の要求が激しくなっていき、
亡くなる前に認知しろとも言っていたそうです。
子供もおりますのよ。
家族もなんとくそのような事が
起きているのではないかということは推測していたそうです。
そして現実にDNA鑑定をしたところ
顔も知らぬ兄弟がいることが発覚し、
遺産の事で相手側の要求も激しさを増してきている
という状況だったのです…
このままではいけない、
当方、相手方、互いに一歩も引かず裁判をすることになりました。
そこで何が問題になったかと言うと、
父親が生前、相手側(愛人)のお金の要求が激しくなってきた頃、
あまりの要求の激しさに怒った父親は
実は
「あいつらには何もやらねぇ!」
という旨の遺言書を作っていたのです。
の、ですが、そのころ父親は
認知症がちょっと入り始めていました。
この時期に作成した遺言書が有効であるのか正直かなり微妙だったのです。
実際の裁判でも
完全に愛人側の勝利で黙々と裁判が進んでいました。
…。
シカシトコロガドッコイ!!!
父親は病院にも行っていて、
認知症だという診断は受けていましたが
遺言書が
”公正証書遺”(法的に最も効果のある遺言書)
だったため
「有効の可能性があるのではないか!」
という主張に加えて、
証人尋問にでてきた公証人の方が
(実は過去に市役所の成年後見担当の人であったそうです)
生前の父親の認知能力等について詳しく話すと、
なんと、そこで裁判官の印象がガラリとかわり、
最終的な判決で突然こちらが勝利したのです!
ところが、
この結果に相手方を含め相手方の先生(弁護士)の
納得がいかず(罵詈憎悪の嵐)
私達は控訴されることに。
――そして迎えた控訴当日
判決から言うと・・・
負けました。
え?なんで?
という声が聞こえてきそうですね…汗
簡単に説明すると
前回の裁判では愛人側の有利で進められていた裁判も
こちらの証人尋問で裁判官の印象がガラリと変わり、勝訴したのですが
控訴ではこの公証人の話を再び直接聞くのではなく、
前回の裁判の内容を記した紙ベースの記録を読みあげるだけなので
となって控訴で判決をひっくり返されたという訳です。
さて、このうな悲しい結末になってしまったわけですが
これまでのお話しを通して何が言いたいのかと言うと、
皆さん、遺言書は認知症の前に書きましょう!
(これ伝えたい。本当に。)
そして、今回の話にもありましたが
生前本人が隠し子を認知していなくも、
後で(亡くなってからでも)認知請求はされます。
(これも一応伝えたい)
みなさま、生前対策・遺言書作成をする際はお早めに。
END.