この種の話題はよく海外からの仰天ニュースとして取り上げられることが多く見られます。
以前には、億単位の莫大な遺産を猫が相続をしたということもありました。
確かに、欧米諸国では、ペットへの遺産相続が認められています。ですが、実際には、相続したペット以外に遺産の管理人をきちんと取り決め、その管理人が責任をもって動物の世話を終生行うことが取り決めとなっています。
ですが、このような話題があることで、自分の死去であっても動物の命を粗末にすることなく、大切にしてほしいという社会的なメッセージも含まれてはいるのでしょう。
目次
日本では飼い主の死去、ペットはどうなるのか?
現状、日本ではペットは法的に「物」と定義づけされています。つまりは、「物」ですから、他の遺産同様に遺産分割の話し合いの項目の一つに加えられます。
もちろん、遺言があった場合であっても、ペット自身が遺産の相続人としては認められません。
またもしペットを相続人として認めた場合には、ペットに相続税の支払い義務が生じてしまったり、財産と共に相続した負債までも返済の義務が生じるという思わぬ事態が生まれ、相続のあり方自体が混乱してしまうでしょう。
しかし、場合によっては、相続人や親しい知人であっても、遺されたペットを引き取ることが難しい場合もあるでしょう。
そのような場合には、動物保護団体への引き取り手配や保険所への持ち込みが一般的には行われています。
飼い主にできることは
自分の死去後も大切なペットを保健所へ持ち込むのではなく、終生飼育を希望する場合には、「遺言書」が効力を発揮することでしょう。
具体的に保護を依頼する動物保護施設を指名しておくこと。事前に施設へ故人が連絡をしていると尚のことスムーズでしょう。
また、遺産の一部をそれらの団体への寄付とする方法もあります。
このように事前に手配をしておくことで、保健所への持ち込みを逃れ、新しい飼い主を見つけることもできるでしょう。
寄付をするには
一番確実な方法は、遺言書を作成して置く事です。
自分が病気になって時の事を考え、原本を公証役場で保管してもらう方法もよいでしょう。
この場合、遺言書は必ず直筆で作成、署名、押印をしたうえで、自分の財産をどのように寄付をしたいのかをできる限り明確に記述しておきましょう。
法定相続人がいる場合であっても、故人の意思であれば、遺産を寄付することは可能です。
相続に際して余計なもめ事が起きないようにとこのような方法を選択する場合もありますし、自分の想いを実現するための方法としてもいいでしょう。
ちなみに遺産を寄付することを、「寄贈」と呼びます。
寄贈のしくみは?
もし、法定相続人が居ない場合、遺された財産は国庫へ収納されてしまいます。
つまり、億単位の遺産があった場合でも、最終的には国のお金になってしまうのです。
そのような場合、出来れば自分の想いや理想の実現、お世話になった方への力添えに、中には動物愛護にと役立てたいと考えることでしょう。
遺言書に、「寄贈」に関する内容を記述することでこの希望は実行へと移されます。
しかし、法定相続人が居ない上に、遺言の管理や内容の実行をお願いできる人が身近に居ない場合には、弁護士や行政書士、税理士といった司法のプロに相談をするとよいでしょう。
公証役場は原本の保管ですから、実際の寄付にまつわる行動や金銭の授受は遺言書実行人への依頼が必要となります。
寄贈に相続税はかかる?
自分がよかれと思い、寄付をしたことで、先方に相続税の支払い義務や何等かの費用が生じるのではないか?と心配になることでしょう。
この場合、「寄贈」をした相手側が一定の条件をクリアしていることで、相続税は非課税となります。
その条件とは、
①寄附した財産は、相続や遺贈によって取得した財産であること。
相続や遺贈で取得したとみなされる生命保険金や退職手当金も含まれます。
②相続財産を相続税の申告書の提出期限までに寄附すること。
③寄付した先が国や地方公共団体又は教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる特定の公益を目的とする事業を行う特定の法人(以下「特定の公益法人」といいます。
④特定の公益法人の範囲は独立行政法人や社会福祉法人などに限定されており、 寄附の時点で既に設立されているものでなければなりません。
この条件に関しては、なかなか意味が難しく、自身が寄付を検討している団体が該当するのかどうかが大変気になることでしょう。
そのような場合には、事前に専門家へ相談をしましょう。
ちなみに、平易な表現では、「国や地方公共団体」「NPO法人」「特定公益増進法人」が対象となります。
大きな団体では、日本赤十字やユニセフなどがあげられます。
上記の条件を満たさない団体や故人への寄贈は遺言書がある場合でも、相続税の課税対象となります。課税される相続税を差し引いても、先方に何等かの財産が残るようであれば、事前にその旨を伝えおくこともよいでしょう。
- 欧米諸国では、ペットへの遺産相続が認められています
- 日本ではペットは法的に「物」
- 一番確実な方法は、遺言書を作成して置く事