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2016年11月14日

家族が亡くなり遺言書が遺されていた場合、実はしておかなければならない大事な手続きがあります。
遺言書と聞くと、つい、テレビなどのシーンを思い出し、遺された遺言書を皆で回覧したり、自宅に保管し、話し合いの席に持参したりというイメージを抱きますが、実は、皆に内容を周知するにあたり、事前に行うべき手続きがあるのです。

遺言書を見つけたら

もし、自宅や会社などで遺言書を見つけた場合には、勝手に封を開けてはいけない事をご存知ですか?
見つけると同時に思わず開封をしてしまいがちですが、実は無断で開封をしてしまうということは、5万円以下の罰金が課せられる場合があるほど重大な事態なのです。

開封を禁止する理由は、もちろん遺言書の偽造や加筆、紛失を防ぎ、全相続の権利を守る為です。
もし開封した遺言書の内容が自身にとって不利であった場合、遺言書を破棄してしまう場合やねつ造してしまうこともなくはありません。
ですから、ここまで厳密に禁止しているのです。

遺言書を見つけた場合は未開封のまま

遺言書を見つけた場合は、未開封のまま、家庭裁判所へ持ち込み、「検認」という手続きを踏みましょう。
もし、相続人が1人しかいない場合や、遺言者本人から預かっている場合であっても、この手続きは必要となります。
最近は、エンディングノートというノート状の形式で遺言を残す場合もありますが、この場合も同様で、家庭裁判所での手続きが必要です。

つまりは、公証役場で原本を保管していない遺言書はすべて、家庭裁判所での検認を受ける必要があるのです。

検認とは?

家庭裁判所での検認とは、具体的にどのような手続きが取られるのでしょうか?
まずは、相続人の立ち合いの元開封し、用紙、日付、筆跡、訂正箇所の署名や捺印の状況や遺言書の内容を確認します。
本人の直筆の遺言書であるか、署名、捺印があるかはとても重要なポイントなのです。

そのうえで、検認調書を作成し、開封に立ち会うことのできなかった相続人へ検認を行った旨の通知を行います。

もし、生前に何通かの遺言書を作成している場合や、相続人が複数人いる場合など、後々遺言書の真偽が問題になる場合もあります。
このようなとき、検認を受けている遺言書であれば、改ざんや加筆がなかった事が証明できるのです。

遺言書を見つけたら

内容は不問です

検認の手続きは、あくまでも開封と書式の確認、改ざん、加筆の有無を証明するのみです。
遺言書に記載された内容が、相続人にとって不利益となる内容や不公平を生じる内容であってもその点に関して一切関与しませんので承知しておきましょう。

ただし、開封後に記載されている内容について、弁護士を依頼したり、裁判へと進む場合には、検認を受けていることが遺言書の扱いの上で重視されます。

注意しなくてはいけない点

遺言書の検認において一番重要なポイントは、勝手に開封してはいけないという事です。
開封済みの遺言書を家庭裁判所へ持参しても、検認を受けることはできません。
のちのち、遺言書の正当性を主張する際に、非常に困難となりうるでしょう。
直近の親族や兄弟等親しい間柄の人物の遺言書であっても、絶対に勝ってに開封をしてはいけません。

検認は必要?

相続人同士の話し合いが円滑に進む場合や相続人が1名しかいない場合など、わざわざ家庭裁判所を利用しなくてもと思うことでしょう。
確かに、遺産に分割に関しては検認は不要といえます。

しかし、遺産の中に不動産が含まれている場合や、自動車を所有している場合、預金口座を凍結している場合などには、遺言書の提出が求められる場合もあります。このような場合、家庭裁判所で検認をおえた遺言書であることで、自身が正当な相続人であることが証明でき、手続きもスムーズに進むでしょう。
ですから、もしこれらの名義変更等の必要はある場合には、検認を受ける必要があるといえます。

複数の遺言書があった場合には

もし複数の遺言書があった場合には、一見で新旧が分かる場合であっても、すべて未開封のまま、家庭裁判所へ提出をしなければなりません
そのうえで、相続人の同席のもと、開封し、日付の最も新しい遺言書が効力を発揮します。複数ある中で、どの遺言書が一番最後に書かれたものかを証明することも、検認の意義なのです。

検認後でも、協議は可能です

遺言書の開封には、原則としては全相続人の同席が必要ですが、実際には全員が立ち会うことは難しいものでしょう。
ですが、検認された遺言書の内容に意義がある場合や、後日さらに新しい遺言書が見つかる場合もあります。
このような場合、何か手立てはあるのでしょうか?
なかなか当事者同士の話し合いでは解決しない上に、検認の効力が勘違いされている場合もあります。
検認というのは、あくまでも相続人の面前で開封し、内容の加筆、修正がなかった事、原本の内容を証明する為のものです。遺言書に記載された内容の有効性や公平性を証明するものではありません。
ですから、検認後であっても、家庭裁判所へ「遺言無効確認の調停」を申し立てることが可能です。
なかなか専門的な方法で、難しいと感じる場合には、専門家への相談を行いましょう。

  1. 遺言書を見つけたら・・・
  2. 遺言書の検認において重要なポイント
  3. 複数の遺言書があった場合

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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