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2016年11月21日

銀行から預金を引き出せない!口座凍結って何?

相続の分割に関して家族内で話し合いを終え、いざ受け取りをとなった時、「銀行口座」から預貯金が引き出せない・・・という事態に陥ってしまう場合があります。

実は、銀行の口座名義人が亡くなったことが銀行に伝わった時点で、銀行は預金口座の全取引を停止してしまいます

たとえ家族で会っても、預金の引き出しはもちろんのこと、入金もできない上に、公共料金やクレジットカード、住宅ローンの引き落としもすべてが停止してしまいます。

亡くなると、必ず口座は凍結されてしまうの?

銀行の口座は、名義人が亡くなったことが銀行へ知らされた時点で凍結となります。

実は、病院での死亡診断、役所への「死亡届」と銀行は全く情報の共有がありません。
ですから、基本的には親族や関係者からの申し出をもって、口座凍結となるのです。

場合によっては、亡くなった旨の連絡が銀行へされず、口座も凍結されない状態のままということも、少なくはありません。

誰でも口座凍結の届け出は出来る?

原則としては、親族や関係者が銀行へ亡くなった旨の届け出を行うことになってはいますが、場合によっては、新聞の死亡告知欄から情報を得て、口座凍結に至る場合もあります。

どうして凍結するの?

口座を凍結する理由の1つは、親族による財産分与の為です。
相続の詳細が決まる前に、勝手に口座から預金を引き出してしまう等のトラブルを未然に防ぐ方法なのです。

また、会社を経営している場合や借金がある場合なども、同様に債務整理のために口座を凍結する場合があります。

口座凍結の手続きを行う場合には、金融機関ごとの手続きが必要です。

ですが、故人が利用していた金融機関が分からない、カードや通帳も見当たらないということもあるでしょう。
最近はネットバンキングの利用も急増し、通帳を作成していないケースもあります。
ですが、どの金融機関を利用していたかという情報は自宅にある書類や故人との会話、給与振り込み口座等からさかのぼり調べなくてはなりません。

万が一、故人の利用履歴に気づかず、口座をそのまま放置してしまった場合、残高に関係なく、5~10年ほどで休眠口座扱いとされてしまいます。

もし、家族だけでは金融機関を探しだすことができない場合には、専門家への依頼も検討しておきましょう。

凍結された口座から、預金を引き出すには?

もちろん所定の手続きを踏むことで、口座凍結解除という方法で預金の引き出しが可能です。

口座凍結

口座凍結解除に必要な書類は、下記の通りです。

  1. ・故人の戸籍謄本(除籍・改正原戸籍)
  2. ・相続人全員の戸籍謄本
  3. ・相続人全員の印鑑証明書
  4. ・相続人全員の実印が押印された銀行所定の用紙(相続届)

これら書類をそろえ、銀行へ届け出を行いましょう。
手続き、必要書類に関しは各金融機関で異なりますので、事前の確認を行いましょう。

ここで重要なポイントは「相続人全員」という点です。
つまりは、親族の中の誰かが勝手に預金を引き出すのではなく、相続人全員が同意の上、口座凍結解除をするということを銀行に証明しなくてはならないのです。

口座凍結が解除されることで、自由に預貯金を引き出すことが出来るのですから、銀行も講座凍結解除には大変慎重な姿勢なのです。

■例外的なケースとして、入院費、お葬式費用に関しては、上記の条件が整わなくても引き出しが可能となる場合もあるので、そのような場合には金融機関と相談の場を設けましょう。

■相続税の支払い期限は、相続が発生した日から10カ月以内です。
相続税の支払いに故人の預貯金を充当する予定の場合、この10カ月の期限内に相続に関して話し合いを終え、口座凍結解除まで済ませておかなければなりません。
口座に一定の預貯金がある場合でも、相続税自体が未納であれば、遅延損害金の発生等の不利益が生じますので、この点は忘れずにおきましょう。

■家族の中に疎遠になっている人がいる場合などは、必要な書類がそろわず、口座凍結の解除に大変な手間と時間がかかってしまうことでしょう。
そのような場合、口座が凍結される前に、一旦預貯金を全額引き出しておくという方法もあります。
この場合、相続の話し合いの場で揉めることの無いように、必ず、通帳の記帳をし、口座の取引履歴、残高を明確に確認できる状態にしておくことを忘れずにおきましょう。

配偶者の口座も凍結される?

口座凍結にあたって、故人に借入金のある場合や自営業、会社経営等の場合は家族も何かと不安があることでしょう。
ですが、口座凍結は、あくまでも口座名義人が亡くなった場合のみです。
生計を共にしている場合でも、配偶者の口座が死亡を理由に凍結されることはありませんので、ご心配はご無用です。

遺言書がある場合には?

正式な遺言書がある場合には、たとえ口座が凍結された場合であっても、比較的スムーズに凍結解除の手続きを終えることができます。

■必要書類は、下記通りです。

  1. ・遺言書
  2. ・遺言者の除籍謄本
  3. ・遺言執行者の印鑑証明書
  4. ・遺言執行者の実印を押印した払戻依頼書

つまり、遺言書と預貯金を相続する本人の書類がそろえば、口座凍結を解除できるということです。

■金融機関によっては、遺言書がある場合でも、相続人全員の同意を確認するための書類の提出を求められる場合もありますので、必ず事前の確認を済ませておきましょう。

  1. 銀行から預金を引き出せない口座凍結
  2. 銀行の預金口座全取引停止
  3. 口座凍結解除方法

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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