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2016年11月22日

遺産の相続にあたって、「相続放棄」という言葉を耳にしたことがありますでしょうか?
故人の生前から、負債を追っている事を親族が把握している場合には、今後の返済をどうしようかと頭を抱えることでしょう。
場合によっては、亡くなった後に、実は負債があった事を初めて知る場合もあります。
事前に負債に関して知っている場合も、そうでない場合も、遺産という意味では相続の対象になるのです。

もちろん財産だけでなく、負債も併せて相続をし、相続税を支払ったとしても、手元に財産が残る場合もありますが、そうでない場合、相続人が負債の返済意思がない場合には、相続自体を断る方法があるのです。

意外にも知られていないこの方法は、相続にあたって、知っておくべき大切なポイントといえるでしょう。

相続放棄とは

法定相続人である人物が、遺産の相続を放棄する権利をいいます。
相続というのは、価値ある財産はもちろんのこと、負債も併せて引き継ぐことを意味しています。
ですから、もし故人に莫大な借金があった場合に、法定相続人が相続をした場合には、相続した人間がその後の借金の返済をも引き継ぐことを意味します。

ですが、もし遺産のうち財産と負債を差し引きした場合、相続税を支払ったうえでもある程度の財産は残る場合は、相続放棄をせずに遺産を相続する方法もあります。

借金があったからといって、一概に相続放棄をする必要はないのです。

また、借金や負債の額はわからないけれども、遺産の範囲内で返済を希望する場合には、そのように上限を設けた相続の方法も可能です。
この場合には、相続にあたって、家庭裁判所へ申し立てが必要となります。

相続放棄は認められた権利

相続放棄は、法定相続人1人1人に認められた権利です。
複数の法定相続人の居る中で、ただ1人だけが相続放棄をするという事ももちろん可能です。
また、相続に関しては、負債の有無にかかわらず、相続人間でのもめごとや手続きの面倒さから長期化する場合もあります。そのような話し合いに参加しないという意味での意思表示として、相続放棄という方法を選択することも可能です。

ただし、相続放棄を正式に決め、家庭裁判所へ申し立てを終えた後に、財産の存在を知った場合など、相続放棄の取り消しを求めることは困難です。
相続放棄は、故人が亡くなってから3か月以内もしくは、自分が法定相続人だと知ってから3か月以内の申し出が原則とされています。
この3か月の間に遺産に関する調査を終え、しっかりと考えてから、各種手続きを進めましょう。

相続放棄の選択

最大のデメリットは、取捨選択ができない事

相続放棄と聞くと、相続人にメリットのある方法のようにも感じえますが、そうとも言えない点があります。
それは、相続内容の取捨選択ができないという点です。
遺産の中で、この部分は相続を希望するが、この部分は放棄したいという選択ができません。
もちろん、相続人同士の話し合いの場でも、財産だけを相続する人、負債だけを相続する人という分割協議は決裂することでしょう。
また、取捨選択を可能としてしまうと、意図的に負債を作り、相続を放棄することで負債を帳消しにするという問題も生じてしまいますので、この点は当然の取り決めといえるでしょう。
ですから、相続放棄をする前に、きちんと財産を調査し、負債との兼ね合いを考えてみましょう。

負債は事前に知らせるべき?

家族が生前に全く把握していなかった負債が、後日見つかることも稀なケースではありません
多いケースとしては、借金などの借入、クレジットカードの利用、株式投資などです。
中には、不動産投資や先物取引などの場合もあります。
また、自営業の場合、家族が事業資金に関して把握していない場合も多くあることでしょう。

借金の借入やクレジットカードの利用は家族も知らないところ

車や住宅などの大きな買い物は家族の知るところとなりますが、そうでない部分に関しては、比較的本人だけが把握している場合が多く見られます。
借金の借入やクレジットカードの利用は、あくまでも個人情報ですから、たとえ家族であっても、通知などが送付されず、なかなか把握は難しいでしょう。
取引先についても、事前に家族に知らせる義務はありませんから、この点はあくまでも家族間の問題となってしまいます。

本人が亡くなった後で、支払いが滞り、督促状が送付されてきた場合には、その場しのぎで支払いを済ませてしまうのではなく、相続人全員で相談をし、負債の処理に関して話し合いの場を設けましょう。




相続放棄は、信用情報に関係する?

この点は、まったく心配無用です。
相続を放棄したからといって、相続に本人の信用情報へ記述されることやクレジットカードの審査やローン審査に響くことはないでしょう。
逆に、無理に負債を相続してしまい、支払いが滞るようであれば、その時点では、信用情報に記述されてしまいます。
負債を相続する場合には、一時の判断で決めてしまうのではなく、完済の目途が立つかどうかをしっかりと考え判断しましょう。

  1. 相続放棄とは
  2. 相続放棄は取捨選択不可能
  3. 相続放棄と信用情報

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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