相続にあたって、生前の故人と同居をしている場合、遺産分割協議の中で、その住宅の扱いが問題になるのです。
住宅を処分してしまっては、その家に住んでいる家族は住まいに困ってしまいます。でもそのままでは、遺産相続に不公平が生じるというものです。
今まで住んでいた権利が優先されるのか?それとも、相続にあたっては、権利よりも法律が優先されるのか?
目次
よくある同居の問題
生前の同居に関する遺産相続の問題は、非常に数多くの事例があります。
中でも、先日裁判にまでなったケースとしては、姉妹のうち1人は両親と同居をし、介護などの世話をし、他の姉妹は別の土地で家族を持ち生活をしていました。
いざ、相続の話合いの席では、同居をしていたことで、家賃や食費の負担が軽く済んでいた。両親と生計を一にしていたということは、生前から経済的な恩恵を受けていたのだから、遺産分割に関しては、その分を差し引くべきだと、別居の姉妹が主張をしたのです。
この主張に対して、同居をしていた姉妹は、介護に関する報酬を受け取っていないと主張をしました。遺産から家賃や食費に相当する費用を相殺するのであれば、同居中に提供した介護への報酬を支払うべきだと。
これは、なかなか当人同士の話し合いでは解決できず、結局裁判にまで発展してしまいました。
結果的には、同居中の家賃や食費を遺産から相殺するという主張は認められず、法定相続が適用されました。
同居をしていた場合には、
まずは、相続人同士で話し合いの場を設けましょう。
今住んでいる住宅をそのまま相続する代わりに、現金などの遺産はすべて他の相続人へという分割の方法もあります。
また住宅の敷地が広い場合には、建物はそのまま相続するものの、庭の敷地に関しては分割で相続をし、ゆくゆくは庭の敷地に別棟の家を建てることが出来るようにするなどの方法もあります。
敷地が狭い場合には?
郊外に土地があり、分割相続が可能な場合は、敷地の分割という選択肢があります。
しかし、都心部などで、敷地分割が現実的に難しく、相続の対象が遺された土地、建物のみの場合、どのような相続の方法があるのでしょうか?
①現金による等価相続
しかし、都心部などで、敷地分割が現実的に難しく、相続の対象が遺された土地、建物のみの場合、どのような相続の方法があるのでしょうか?
①現金による等価相続
今まで同居をしていた自宅をその後もそのまま居住したい場合、まずは自宅の査定を行いましょう。売却した場合の査定額を算出し、その金額を法定相続の比率で分割します。
分割した金額を現金で他の相続人へ支払うという方法です。
つまりは、法的な解釈では、一旦は自宅を分割した相続し、その後、他の相続にから現金で買い戻すという流れになるのです。
この方法であれば、他の相続人との不公平感もなく相続を終えることが出来るでしょう。
もちろん、土地、家屋の相続であり、現金を相続して居ない場合には、他の相続人への支払い額を工面するのは難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、住宅ローン同様に銀行のローンなどを活用するとよいでしょう。
また、他相続人との話し合いは、現金の支払いで解決した後は、相続税の申告手続きや固定資産税の支払い義務が生じますので、その点も忘れずにおきましょう。
②自宅を売却し、現金化する場合
同居していた土地、建物を相続する場合、まずは、その自宅に今後も住み続けるのかどうかをしっかりと考えてみましょう。
そ判断の基準となるのは、不動産業者による査定です。
査定自体は、無料で即日完了する場合が多いので、出来れば数社から査定をもらうようにしましょう。
特に、戸建ての場合、建築年数、土地の評価額により購入時の金額と、相続時の査定額に大きな開きがある場合があります。
逆に、今後近隣の土地開発の予定がある場合には、購入時の価格よりも数倍も高騰している場合もあるほどです。
この査定をもとに、相続人同士で話し合いを行いましょう。
ここでのポイントは、現在居住している世帯にのみ発生する費用があることを忘れずにおきましょう。
新居への転居に伴う費用です。引越し費用はもちろんのこと、新居の契約費用、学校を転向する場合には制服などの購入費用も掛かります。車を持っている場合には移送費用や各種手続きには費用も時間もかかります。
ですから、査定で算出された金額をそのまま分割してしまうと、後になってから、引越しに伴う諸費用の分だけ実質マイナスになったという声があがるのです。
また、売却にあたって、土地には評価が付いたものの、建物に評価が付かず、更地にすることが条件となる場合もあります
そのような場合、更地にするための費用をすべて差し引いたうえで、売却額の分割を決めましょう。
これらの手続きをすべて終え、各自の相続内容が確定し、相続税の申告、納税を10カ月以内に終えなければならないのですから、相続というのは非常に慌ただしものなのです。
土地の売却にあたっては、各不動産業者によって査定額が異なります。査定額の高さだけで、業者を選定してしまうのではなく、しっかりと詳細を確認しましょう。
最終的な契約の前に、必ず詳細を全相続で確認し、心残りの無い方法を選択しましょう。
- 故人との同居の問題
- 分割相続が可能な場合は、敷地の分割
- 自宅を売却し、現金化する場合