“本来土地を相続すれば、それに関して相続税が発生して納税していきます。ただ山林に関しては納税猶予の特例を受けられるケースがあります。それは特定森林経営計画で定められている区域内にある山林の相続をした場合です。そのエリアで山林経営をしていることが対象であり、納税猶予の範囲は林業経営を行う相続人が納付すべき課税価格の80%に相当する金額となっています。
被相続人の具体的な要件としては、特定森林経営計画で定められている区域内において作業路網を整備しているエリアが合計で100ヘクタール以上であることや特定森林経営計画を達成させるために必要な整備をしていること、亡くなるまでにそうした経営を行なっていたことなどがあって農林水産大臣のお墨付きを得ていたことも含まれます。つまり、山林の整備をしていたと主張していても公的機関から認められていない状況では認めてくれないということです。
相続人に関しても要件が存在します。まずは被相続人が亡くなった場合に推定相続人になることが確実だったことや相続税の申告期限までに相続を受けた全ての山林を有しており経営者として携わっていることが要件です。家族で経営を行なっていたとすれば父親の家業を引き継いで息子が引き続きその地で経営をしていくのであれば大部分の納税猶予を認めるというのがこの特例のポイントです。この納税猶予はあくまでも支払いを免れたわけではありません。免除されるケースは相続人が亡くなった場合であり、何かしらのタイミングで経営をやめれば猶予はなくなります。
実際にこの特例をしんせいするためには遺言書の写しや戸籍謄本など相続で必要なものや農林水産大臣の確認書や証明書などが必要です。これらは自分たちで集め、大事に保管していたものを書類として揃えていきます。実際は税理士などに見てもらうのがベターです。この特例が2012年度に創設されるなど、まだ制度としては日が浅いです。林業を行なっている人の中でも万が一亡くなった場合にどうしていけばいいのかというのがわかっていない面もあり、特例があるといってもどこまでの範囲なのかというのもピンと来ていない実情があります。
大事なこととしては、林業経営相続人が相続を受けてからも経営を続けていくことが大前提です。また特定森林経営計画を事前に策定してそれに関する設備投資などをしっかり行なっていることも必要です。それらの要件をクリアして納税猶予の流れになっていきます。
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