目次
見落としがちなリスクとして、相続税 税理士 必要か 税務調査の可能性 のデメリットを具体的に解説します。
相続税の税務調査は「申告した人のうち約10人に1人前後」に行われ、その8割以上で申告漏れなどの指摘が入ると言われています。
結論として、「相続税で税理士は必要か?」を考えるときは、この税務調査リスクとペナルティ(加算税・延滞税)を含めて判断しないと、費用節約どころか大きなデメリットになるおそれがあります。
【この記事のポイント】
- 相続税の税務調査は、実地調査だけでも申告件数の約5〜10%、簡易接触を含めると15〜20%程度とされ、「決してレアではない」水準です。
- 税務調査が入った約8割のケースで申告漏れなどの非違が指摘され、追徴税・加算税・延滞税が発生しているのが実態です。
- 「税理士に頼まず自分で申告する」こと自体は違法ではありませんが、内容次第では税務調査の可能性や指摘リスクが高まりやすい点が大きなデメリットです。
今日のおさらい:要点3つ
- 税務署は、申告書の内容・財産規模・名義預金・不動産の状況などから「調査対象」を選別しており、金額が大きいほど狙われやすくなります。
- 自分で申告すると、評価ミスや特例の適用漏れ、名義預金の扱いなどで「税務署の疑問点」が増え、結果として調査・指摘のリスクが高くなりがちです。
- 相続税に強い税理士に依頼すれば、書面添付や根拠資料の整備により、税務調査の可能性を下げつつ、調査になった場合も適切に対応してもらえるメリットがあります。
この記事の結論
相続税の税務調査は、実地調査で約5〜10%、簡易接触も含めると15〜20%前後とされ、多くの家庭にとって「起こりうるリスク」です。
税務調査リスクのまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実地調査の割合 | 申告件数の約5〜10% |
| 簡易接触を含めた割合 | 15〜20%前後 |
| 指摘を受ける割合 | 調査を受けた案件の約8割以上 |
| ペナルティ | 追徴税額+加算税(10〜20%)+延滞税 |
税理士に依頼しないデメリットは、「税務調査の可能性が高まること」と「調査になったときの対応負担がすべて自分に降りかかること」の2点が特に大きいといえます。
相続税で税理士は必要か?税務調査の可能性からどう考えるべきか
結論として、「相続税 税理士 必要か」を税務調査の観点から見ると、一定規模以上・一定の複雑さがある相続では、税理士に依頼しないこと自体が大きなリスクになります。
一言で言うと、「申告は一度きり・やり直しが効きにくい税目だからこそ、税務調査まで見据えてプロを入れるべき」という構図です。
税務調査の観点から見た税理士の必要性
| 観点 | 税理士なし | 税理士あり |
|---|---|---|
| 調査対象になりやすさ | 高まる可能性 | 低減できる |
| 調査時の対応 | すべて自分で対応 | 税理士が前面に立つ |
| ペナルティリスク | ミスがあると高い | 適正申告で低減 |
| 精神的負担 | 大きい | 軽減される |
相続税の税務調査はどれくらいの確率で入るのか
相続税の税務調査割合は、国税庁の統計や専門家の分析から概ね次のように整理されています。
相続税の税務調査割合
| 調査の種類 | 割合 | イメージ |
|---|---|---|
| 実地調査(税務署員が自宅等に来る調査) | 約5〜10% | およそ10件に1件前後 |
| 簡易接触(電話・書面照会など)を含めた調査 | 15〜20%前後 | 5〜6件に1件程度 |
| 高額な相続(課税価格2億円超など) | 80%以上 | ほぼ避けられないレベル |
つまり、「申告したら必ず来るわけではない」が、「自分は絶対に関係ない」と言い切れるほど低くもない数字です。
遺産総額と税務調査リスクの関係
| 遺産総額 | 税務調査リスク |
|---|---|
| 5,000万円以下 | 比較的低い |
| 5,000万円〜1億円 | 中程度 |
| 1億円〜2億円 | やや高い |
| 2億円超 | 非常に高い(80%以上との統計も) |
税務調査で指摘されやすいポイントとは?
一言で言うと、「税務署が狙いやすいところ」はある程度パターン化されています。
税務調査で指摘されやすいポイント
| ポイント | 内容 | リスク |
|---|---|---|
| 名義預金・名義保険 | 子や孫名義の預金・保険が、実質的には被相続人の財産と見なされるケース | 申告漏れとして追徴 |
| 不動産評価の誤り | 路線価の適用ミス、間口や奥行の誤認、貸家・貸地の評価区分の誤りなど | 評価額の修正 |
| 現金・タンス預金の申告漏れ | 通帳に表れない現金、貸金庫内の現金・貴金属など | 申告漏れとして追徴 |
| 生前贈与の扱い | 直前の多額贈与や定期的な送金が「相続財産への持ち戻し」と判断されるケース | 相続財産に加算 |
| 海外資産 | 海外の預金口座、海外不動産など | 申告漏れとして追徴 |
| 未公開株式 | 同族会社の株式評価の誤り | 評価額の修正 |
税務調査では、これらのポイントを中心に、金融機関照会や過去の申告データなどを突き合わせながらチェックしていきます。
名義預金と判断されやすいケース
| ケース | 判断されやすい理由 |
|---|---|
| 子ども名義の通帳を親が管理していた | 実質的な管理者が被相続人 |
| 子どもが口座の存在を知らなかった | 贈与の意思が認められない |
| 印鑑を被相続人が保管していた | 実質的な支配が被相続人にある |
| 定期的な入金が被相続人の収入から | 資金の出所が被相続人 |
自分で申告した場合、税務調査の可能性は高くなるのか
結論として、「セルフ申告=必ず税務調査」というわけではありませんが、リスクが高まりやすい要素は確かに存在します。
自分で申告した場合のリスク要因
| リスク要因 | 内容 |
|---|---|
| ミスや漏れの推測 | 税理士が関与していない申告書は、ミスや漏れがあると推測されやすい |
| 税理士署名欄の空欄 | 税務署側にとって一つの判断材料になる |
| 根拠の乏しさ | 財産評価や特例適用の考え方に根拠が乏しいと、調査で崩されやすい |
| 書類の不備 | 必要書類の漏れや記載ミスが多くなりがち |
ただし、元国税調査官の見解などでは、「セルフ申告だから自動的に調査率が上がるわけではない」が、「内容が不自然・根拠に乏しいセルフ申告」は狙われやすいと整理されています。
自分で申告した場合と税理士に依頼した場合の比較
| 項目 | 自分で申告 | 税理士に依頼 |
|---|---|---|
| 税理士署名 | なし | あり |
| 書面添付 | なし | 可能 |
| 根拠資料の整備 | 不十分になりがち | 専門家がチェック |
| 調査対象になりやすさ | 高まる可能性 | 低減できる |
税理士に依頼しないことのデメリット(税務調査編)
結論として、税理士に依頼しないデメリットは「税務調査に選ばれやすい可能性」と「調査対応の負担」の2つが特に大きいです。
税理士に依頼しないことのデメリット
| デメリット | 内容 |
|---|---|
| 調査対象になりやすい | ミスや根拠不足が増えやすく、調査対象になりやすい |
| 追徴税・加算税のリスク | 申告漏れが見つかるとペナルティが発生 |
| 調査対応の負担 | すべて自分で対応しなければならない |
| 精神的ストレス | プライベートな部分まで踏み込まれる |
| 交渉力の不足 | 専門知識がないと税務署との交渉が難しい |
追徴税・加算税・延滞税のリスク
税務調査で申告漏れが見つかった場合、多くのケースで次のようなペナルティが発生します。
税務調査で発生するペナルティ
| ペナルティの種類 | 内容 | 税率 |
|---|---|---|
| 追徴税(本税) | 本来払うべきだった相続税との差額 | 差額分 |
| 過少申告加算税 | 申告額が少なかった場合 | 原則10%、50万円超の部分は15% |
| 無申告加算税 | 申告期限までに申告しなかった場合 | 原則15%、50万円超の部分は20%(条件により最大30%) |
| 重加算税 | 隠ぺい・仮装など悪質な場合 | 相続税で40% |
| 延滞税 | 納付が遅れた場合 | 年2.4〜8.7%程度(年度により変動) |
ペナルティの具体例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 申告漏れの本税 | 500万円 |
| 過少申告加算税(15%) | 75万円 |
| 延滞税(仮に3%で2年分) | 30万円 |
| 合計ペナルティ | 105万円 |
一言で言うと、「数十万〜数百万円単位の上乗せ」があり得るため、「税理士費用を節約した金額」を簡単に超えてしまうことがあります。
税務調査対応そのものの負担
税務調査対応には、精神的にも時間的にも大きな負担がかかります。
税務調査対応の負担
| 負担 | 内容 |
|---|---|
| 立ち会い | 調査当日は、相続人や同居家族が立ち会い |
| 説明対応 | 過去の通帳や資料について説明を求められる |
| プライバシーへの踏み込み | 被相続人の生前の生活状況や家族間の金銭のやり取りなど |
| 判断の負担 | 修正申告・納税・今後の対策まで、自分で全て判断 |
| 精神的ダメージ | 相続から時間が経って気持ちが落ち着いたころにやってくる |
税務調査の流れ
| ステップ | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 事前連絡 | 税務署から調査の連絡 | 調査の1〜2週間前 |
| 準備 | 資料の準備、過去の取引の確認 | 数日〜1週間 |
| 実地調査 | 税務署員が自宅等に来て調査 | 1〜2日 |
| 質問・確認 | 追加の質問や資料提出依頼 | 数週間〜数か月 |
| 結果通知 | 指摘事項の通知、修正申告の要否 | 調査終了後 |
| 修正申告・納税 | 指摘があった場合の対応 | 通知後速やかに |
これは、「相続から時間が経って気持ちが落ち着いたころ」にやってくることが多いため、精神的なダメージも大きくなりがちです。
税理士に依頼した場合の税務調査への効果
税理士に依頼した場合、税務調査に対するメリットは大きく分けて2つあります。
税理士に依頼した場合のメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 調査に選ばれにくくなる | 書面添付制度の活用で事前照会で済むケースも |
| 調査になっても守ってもらえる | 税理士が前面に立って応対 |
| 根拠資料の整備 | 事前に論点を整理し、指摘を受けても反論・交渉がしやすい |
| 精神的負担の軽減 | 相続人が直接細かい対応をする負担が軽減 |
書面添付制度とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度の概要 | 税理士が申告書の内容をチェックし、意見書を添付する制度 |
| 効果 | 税務署が調査前に税理士に意見聴取を行う |
| メリット | 事前照会で済むケースがあり、実地調査の可能性を下げられる |
| 利用条件 | 税理士が申告書を作成した場合に利用可能 |
税理士関与率と税務調査
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 相続税申告の税理士関与率 | 約85〜86% |
| 書面添付制度の利用効果 | 事前照会で済むケースが増加 |
一言で言うと、「税務調査を完全にゼロにはできない」が、「選ばれにくくし、選ばれても守ってもらえる」状態を作れるのが、相続税に強い税理士を入れる最大のメリットです。
税務調査に備えるためのポイント
税務調査に選ばれにくくするための対策
税務調査に選ばれにくくするための対策
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 相続税に強い税理士に依頼 | 専門家のチェックで申告ミスを防ぐ |
| 書面添付制度の活用 | 税理士が意見書を添付することで事前照会で済む可能性 |
| 根拠資料の整備 | 評価方法や特例適用の根拠を明確にする |
| 名義預金の整理 | 名義預金に該当するものは相続財産に含める |
| 生前贈与の記録 | 贈与契約書、贈与税申告書などを保管 |
税務調査になった場合の対応
税務調査になった場合の対応
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 冷静に対応 | 慌てず、質問に正確に答える |
| 資料を準備 | 求められた資料を速やかに提出 |
| 税理士に連絡 | 税理士に依頼している場合は速やかに連絡 |
| 記録を残す | 調査官とのやり取りを記録しておく |
| 安易に認めない | 指摘事項に疑問があれば確認する |
よくある質問
Q1. 相続税の税務調査はどれくらいの確率で来ますか?
A. 申告件数に対する実地調査はおおむね5〜10%前後で、簡易接触を含めると15〜20%程度とされています。
Q2. 自分で申告したほうが税務調査に狙われやすいのですか?
A. セルフ申告だから自動的に調査率が上がるわけではありませんが、ミスや根拠不足が増えやすく、結果として調査対象になりやすいと指摘されています。
Q3. 税務調査で指摘を受ける割合はどのくらいですか?
A. 実地調査が行われた相続税案件のうち、約8割以上で申告漏れなど何らかの非違が見つかっているとされています。
Q4. 税務調査で追加の税金はどれくらいかかりますか?
A. 不足税額に加え、過少申告加算税10〜15%、無申告加算税15〜20%(場合により最大30%)などが上乗せされる可能性があります。
Q5. 税理士に依頼すると税務調査がなくなりますか?
A. 完全になくなるわけではありませんが、書面添付などにより事前照会で済むケースや、調査対象から外れるケースが増えるとされています。
Q6. 税務調査になったとき、税理士がいないと何が大変ですか?
A. 調査官とのやり取り・質問への回答・修正内容の交渉などをすべて自分で対応する必要があり、専門知識と精神的負担の両方が大きくなります。
Q7. 税務調査リスクだけを見ても、税理士に依頼する価値はありますか?
A. 調査の可能性低減と、調査時の追徴・加算税の抑制を考えると、一定規模以上の相続では税理士報酬以上の価値が出るケースが多いと言えます。
Q8. 税務調査はいつ頃来ることが多いですか?
A. 相続税の申告後1〜2年程度で来ることが多いとされています。ただし、3年以上経ってから来るケースもあります。相続から時間が経って気持ちが落ち着いたころにやってくることが多いです。
Q9. 税務調査を断ることはできますか?
A. 正当な理由なく税務調査を拒否することはできません。拒否した場合、罰則が適用される可能性があります。ただし、日程の調整は可能です。
Q10. 税務調査で何も指摘されないこともありますか?
A. はい、調査の結果「申告是認」(問題なし)となるケースもあります。ただし、実地調査が行われた案件の約8割以上で何らかの指摘がある統計もあり、是認となるのは少数派です。
まとめ
- 相続税の税務調査は、実地調査で約5〜10%、簡易接触を含めると15〜20%前後とされ、多くの家庭にとって「現実的なリスク」です。
- 税務調査で申告漏れが見つかると、追徴税に加えて10〜20%前後の加算税や延滞税が上乗せされ、税理士報酬を大きく超える負担になることもあります。
- 自分で申告した場合、ミスや根拠不足が増えやすく、結果として税務調査の対象になりやすいと指摘されています。
- 税理士に依頼しない最大のデメリットは、「税務調査に選ばれやすくなる可能性」と「調査対応とペナルティのリスクを一人で背負うこと」です。
- 相続税に強い税理士に依頼することで、書面添付や根拠資料の整備により税務調査の可能性を下げつつ、調査になった場合も適切に対応してもらえるメリットがあります。









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