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相続税の申告を自分で行うか税理士に依頼するか|判断基準とケース別の注意点
相続税の申告を自分で行うかどうかの結論は、「財産の内容が単純で相続税額も小さいケースなら自分でも可能だが、不動産・非上場株式・特例適用が絡む場合は税理士に依頼した方がトータルで安全」という判断になります。「相続税が発生する典型的なケースの多くは専門家向き、自分で申告できるケースはかなり条件が限られる」というのが実務の基準です。
【この記事のポイント】
- 相続税の申告は制度上、自分で行うことができますが、実際には約8〜9割の方が税理士に依頼しており、自分で申告できるケースは「財産がシンプルで少額」の場合に限られます。
- 「相続財産の種類」「遺産総額」「相続人の人数・関係性」「特例・控除の有無」「手間とリスク許容度」という5つの軸で、自分で申告できるかどうかを判断するのが実務的です。
- 初心者がまず押さえるべき点は、「土地や非上場株式がある」「小規模宅地や配偶者控除などの特例を使いたい」「相続人が2人以上で揉める可能性がある」場合は、自分で行うより専門の税理士に依頼した方が得をしやすいということです。
今日のおさらい:要点3つ
- 相続税は自己申告制度のため自分での申告も可能ですが、土地や生前贈与、名義預金などが絡むと難易度が高く、多くの納税者が税理士に依頼しています。
- 「現金・預貯金中心で総額が比較的少なく、相続人も少ないケース」が自分で申告しやすいパターンであり、それ以外は専門家に任せた方が結果的に安心かつ節税になりやすいです。
- 相続税の申告判断では、「相続税がそもそもかかるか」「自分でやるとどの程度のリスクがあるか」「税理士報酬と節税余地のどちらが大きいか」を比較表・基準一覧で確認することが重要です。
この記事の結論
相続税の申告は制度上、自分で行うことも可能ですが、実務では「財産が少額・シンプルな場合のみ自分で、それ以外は税理士に依頼」が基本ラインです。
自分で申告しやすいケースは、相続財産が現金・預貯金中心で、土地や非上場株式がなく、相続人が1人または少人数で、特例・控除をほとんど使わない場合です。
一方で、土地・非上場株式・賃貸不動産・生前贈与・名義預金などが絡む場合は、評価ミスや特例の使い漏れにより、税理士報酬以上の損失や税務調査リスクが高まるため、専門家への依頼が推奨されます。
最も大事なのは、「節約できる税理士報酬」と「過大な納税・追徴税・手間・心理的負担」のどちらが大きいかを冷静に比較し、自分で申告するかどうかを判断することです。
相続税の申告を自分で行うかどうかは、「財産内容の複雑さ」と「自分の時間・知識・リスク許容度」を基準に判断し、少しでも不安がある場合は早めに相続税専門の税理士に相談するのが安全です。
相続税申告を自分でできるケースと難しいケースの違いは?
「自分で申告してもよいケース」と「税理士に任せるべきケース」の違いは、シンプルに言うと「財産の種類と相続関係の複雑さ」です。「相続税の計算そのものよりも、評価・特例・税務調査のリスク管理が難しいかどうか」が判断の分かれ目になります。
相続税申告は原則、自分でしてもよい(制度の前提)
相続税は「申告納税方式」といって、納税者側が自ら税額を計算して申告する制度です。
制度上の前提
法律的には、相続税の申告は相続人自身が行うことができ、税理士への依頼は義務ではありません。実際に、令和4事務年度の国税庁資料では、約14%程度の納税者が自分で相続税申告を行っていると紹介されています。
それでも税理士依頼が多い理由
相続税は所得税の確定申告と比べてルールが複雑で、土地評価・特例適用・書類作成などに高度な専門知識が必要とされます。自分で申告すると、税額を抑えるノウハウを使えない一方で、税務調査で指摘されるリスクも高くなると指摘されています。
このように、「自分で申告しても法律上は問題ないが、実務では難易度が高い」という前提を押さえることが大切です。
自分で申告しやすいケース(基準一覧)
初心者がまず押さえるべき「自分で申告しやすい条件」は、複数の専門サイトで共通しています。
相続財産の種類がシンプル
現金・預貯金・上場株式など、評価が比較的簡単な資産が中心で、土地や非上場株式がない。
遺産総額が比較的少ない
合計5,000万円以下程度で、課税ラインぎりぎり・特例フル活用といった高度な節税を狙わないケースが目安とされます。
相続人が少なく、関係性もシンプル
相続人が配偶者1人、または配偶者と子1人など、人数が少なく、争いの可能性が低い場合。
特例・控除の利用が少ない
配偶者控除や小規模宅地等の特例などを積極的に使わず、シンプルな計算で済むとき。
自分で税務手続きを学ぶ時間がある
申告期限(通常10か月)までの間に、書籍や国税庁の手引きでルールを学び、必要書類を揃える時間が取れる場合。
これらに当てはまるほど、「自分で申告してもよい」側に寄っていきます。
自分で申告すべきでない・税理士依頼推奨ケース
一方で、「この条件があるなら、自分で申告はかなりリスクが高い」とされるケースも整理されています。
不動産(土地・建物)がある
土地評価は路線価・倍率・地形補正など専門的な判断が必要であり、評価ミスによる「過大な納税」または「過少申告による追徴リスク」が大きいとされています。
賃貸不動産・非上場株式がある
賃貸アパート、駐車場、非上場株式の評価は特に難しく、自分で計算するハードルが高いと紹介されています。
名義預金・名義保険・生前贈与が疑われる
名義だけ子や孫になっている預金、暦年贈与、相続時精算課税などが絡む場合、課税関係の判断が難しく、税務調査で指摘されやすい分野です。
相続人が複数いて調整が難しい
兄弟間のトラブルリスクが高い、遺留分・寄与分・特別受益が問題になりそう、といったケースは、税金だけでなく紛争リスクの観点からも専門家の関与が望ましいとされています。
特例・控除を最大限使いたい
小規模宅地等の特例、配偶者控除の最適配分、生命保険非課税枠などを組み合わせた節税を図る場合、自分での判断ミスが節税機会の損失につながりやすいです。
こうした条件に一つでも当てはまる場合は、税理士への依頼を強くおすすめします。
相続税申告を自分で進めるときのステップとリスク比較のポイント
自分で相続税申告を行う場合は、「手順そのもの」と「リスク」の双方を理解したうえで進める必要があります。「やり方を知るだけでは足りず、それを自分でやるべきかどうかの判断も同時に行うこと」が重要です。
自分で相続税申告を行う基本の6ステップ
複数の専門サイトでは、相続税申告を自力で行う際のステップが共通して整理されています。
ステップ1:相続財産と相続人の把握
ステップ2:財産評価(預貯金・有価証券・不動産など)
ステップ3:相続税がかかるかどうかの判定(基礎控除との比較)
ステップ4:相続税申告書(第1表〜第15表など)の作成
ステップ5:添付書類の収集(戸籍、残高証明書、登記事項証明書など)
ステップ6:税務署への提出・納付
特に申告書の書き方については、「第9表から作り始める」「3ステップで整理する」といった具体的な記載順序の解説もあります。
自分で申告するメリットとデメリット(比較イメージ)
自分で行うか税理士に依頼するかの比較軸として、主に次のポイントが挙げられています。
自分で申告するメリット
- 税理士報酬がかからないため、コストを抑えられる。
- 自分のペースで進められ、手続きの流れを学べる。
自分で申告するデメリット
- 土地評価・特例適用などで過大に税金を払ってしまう、または過少申告となり追徴課税を受けるリスクがある。
- 税務調査で「自分申告」が分かると、チェックが比較的厳しくなる可能性があると指摘する解説もある。
- 多くの時間・手間がかかり、心理的負担も大きい。
「節約できる税理士報酬」と「失敗によるリスクや時間コスト」のどちらが大きいかを比べる発想が重要です。
よくある質問
相続税の申告は自分でしてもよいですか?
制度上は自分で申告して問題ありませんが、実務では財産が単純なケースを除き、多くの方が税理士に依頼しています。
どんな場合なら相続税申告を自分でしても大丈夫ですか?
現金・預貯金が中心で土地がなく、遺産総額も比較的少なく、相続人が少人数で、特例をほとんど使わないケースは自分でも行いやすいとされています。
土地がある場合でも自分で相続税申告はできますか?
可能ではありますが、土地評価は専門性が高く、過大な納税や税務調査リスクが大きいため、税理士への依頼が強く推奨されています。
自分で申告すると税務調査に入りやすいというのは本当ですか?
自分で申告したかどうかは申告書から分かり、手続きミスや評価の不自然さがあると税務調査の対象になりやすいと解説されています。
税理士に依頼するメリットは何ですか?
土地評価や特例適用による節税、税務調査への備え、手続き・書類収集の代行などにより、トータルの税負担と手間を抑えやすくなります。
相続税がかからない場合でも税理士に相談した方がいいですか?
基礎控除内におさまり申告不要なケースでも、名義預金や生前贈与があると予想以上に税額が発生することがあるため、確認の意味で相談する価値はあります。
自分で申告する場合の最初の一歩は何から始めればよいですか?
相続財産と相続人をリスト化し、国税庁の手引きや専門サイトで「相続税がかかるかどうか」を判定するところから始めるのが基本です。
税理士報酬はどのくらいを目安に考えればよいですか?
報酬水準は事務所や遺産規模によって異なりますが、「節税効果や安心感と比較して妥当か」を基準に検討するべきと説明されています。
名古屋のように不動産が多い地域ではどう判断すべきですか?
不動産比率が高い相続は評価・特例の影響が大きく、自分での判断ミスが税額に直結しやすいため、地域事情に詳しい相続税専門税理士に相談することが推奨されます。
まとめ
相続税の申告は制度上、自分で行うことが可能ですが、実務では財産がシンプルで少額なケース以外は税理士に依頼する方が安心であり、結果として節税につながることも多いです。
自分で申告しやすいのは、現金・預貯金が中心で土地や非上場株式がなく、相続人が少なく、特例もあまり使わないようなケースに限られます。
土地・賃貸不動産・非上場株式・名義預金・生前贈与などが絡む相続は、評価や税務判断が難しく、自分で申告するリスク(過大な納税・追徴課税・税務調査)が高くなります。
「節約できる税理士報酬」と「失敗した場合の金銭的・精神的コスト」を比較し、自分のケースが自力申告に向いているかどうかを、基準一覧やチェックポイントで冷静に判断することが大切です。
少しでも不安がある場合や不動産を含む相続では、早い段階で相続税専門の税理士に相談し、「自分で申告するかどうか」を一緒に検討するのが、家族全体にとって最も安全で合理的な選択となります。









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