目次
相続税の修正申告にかかるペナルティはどうなる?延滞税・加算税のリスクと軽減のポイント
相続税の申告後に修正申告をするときの結論は、「延滞税と加算税(場合によっては重加算税)というペナルティリスクがあるものの、自主的に早く修正すれば加算税が軽減・免除される余地があり、放置するほど不利になる」ということです。「修正申告は”怖いもの”ではなく、間違いに気づいた人が損失を最小限に抑えるための手段であり、タイミングと対応次第でペナルティは大きく変わる」と理解するのが重要です。
【この記事のポイント】
- 相続税の修正申告は、「本来より少ない相続税しか納めていなかった」と判明したときに、正しい税額に増やすための手続きであり、その際に延滞税・過少申告加算税・重加算税といったペナルティ(附帯税)が問題になります。
- 修正申告のペナルティは「いつ・誰が気づいたか」「自主的な修正か、税務調査後か」「ミスか故意か」によって大きく変わり、同じ金額のミスでも対応次第で負担額に大きな差が生じます。
- 相続税の修正申告で損をしないためには、「延滞税・加算税の仕組み」「修正申告と更正の請求の違い」「時効と期限」「自分でやるリスクと専門家依頼の分岐点」を押さえ、間違いに気づいた時点ですぐに動くことが最も重要です。
今日のおさらい:要点3つ
- 相続税の修正申告では、「延滞税=納付遅れへのペナルティ」「加算税=申告ミス・無申告へのペナルティ」がセットで問題になり、特に延滞税は日数経過とともに増えていきます。
- 「税務調査の事前通知前に自分から修正すれば加算税は軽く(またはゼロに)、通知後や悪質と判断された場合は過少申告加算税や重加算税でペナルティが重くなる」という差が最大のリスク・分岐点です。
- 修正申告を自分だけで進めると、「誤った評価で再申告してしまう」「本当は更正の請求で還付を受けられたのに見逃す」「ペナルティの計算・時効の判断を誤る」といった二重のリスクがあるため、一定以上の金額・内容なら相続税専門税理士への相談が安心です。
この記事の結論
相続税の修正申告では、「本来より少ない相続税を後から納める」ため、原則として追加税額に延滞税と過少申告加算税(悪質なら重加算税)がかかるリスクがあります。
延滞税は「納付の遅れ」へのペナルティ、加算税は「申告ミス・無申告」へのペナルティであり、いずれも相続税の申告期限の翌日からの経過日数や、税務調査の前後、自主修正かどうかによって税率・有無が変わります。
最も大事なのは、「税務署からの調査通知前に、自主的に修正申告するかどうか」であり、早期の自主修正なら加算税が軽減・免除される一方、通知後や隠蔽がある場合は重い加算税が課される可能性が高まります。
「修正申告のペナルティとリスクを最小限にするコツは、”気づいたらすぐ相談・すぐ修正”」です。
修正申告が必要か迷うケースでは、「本当に追加納税なのか(更正の請求で還付できないか)」「ペナルティ・時効の扱い」「評価・特例のやり直し」を相続税専門税理士と確認し、感情的に先延ばしせずに冷静なシミュレーションを行うことが重要です。
相続税の修正申告のペナルティは何がある?(延滞税・加算税の基本)
相続税の修正申告に関わる主なペナルティは「延滞税」「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」の4種類であり、それぞれ役割と計算ルールが異なります。「いつ・どんな状態で間違いに気づいたか」で、どのペナルティがどの程度かかるかが決まります。
延滞税:納付が遅れたことへの”利息”
延滞税は、「本来の納期限までに納めるべき相続税を納めていなかった期間」に対してかかるペナルティです。
性質
納付遅延に対する”利息”のような位置づけであり、追加で納める相続税額に対して日数計算で課されます。
税率(令和6年前後の水準のイメージ)
- 納期限から2か月以内:年2.4%
- 納期限から2か月を超えた期間:年8.7%
ポイント
相続税の延滞税は、原則として1年分を上限とする特例があり、何年も遡って無制限に膨らむわけではありませんが、額が大きいと負担感は相応に出ます。
修正申告をすれば、少なくとも延滞税は避けられないことが多いため、「どれくらいになるか」を早めに概算し、追加納付を先延ばしにしないことが大切です。
加算税:申告ミス・無申告への”罰金”
加算税は、「申告義務を怠った」「過少に申告した」といった”申告行為の不備”に対して課されるペナルティです。
過少申告加算税
期限内申告はしたものの、税額が少なすぎた場合に、追加税額に対して原則10%などの率で課税されます(追加税額が多額の場合には一部15%など)。
無申告加算税
そもそも期限内に申告していない場合に、納付税額に対して5〜15%程度の税率で課されます。
重加算税
財産隠しなど、仮装・隠蔽があったと税務署が判断した場合に、追加税額に35〜40%程度の高率で課される「重い罰則」です。
ここでの重要ポイントは、「自主的に早く修正申告すれば、過少申告加算税がかからない、または軽くなる制度がある」という点です。
相続税の修正申告で特に注意すべきリスクは?
修正申告のリスクは「金額面のペナルティ」だけでなく、「対応の遅れ」「手続きの誤り」「自分でやって再度ミスを重ねること」にもあります。「一度のミスを、二度目のミスで拡大させない」ことが最大の注意点です。
リスク1:修正申告を遅らせるほどペナルティが増える
最も大事なのは、「時間の経過=延滞税・加算税の増加」という構図です。
延滞税は日数で増える
納期限の翌日から率をかけて計算されるため、1日でも早い納付が延滞税の節約につながります。
調査通知前か後かで加算税が変わる
調査の事前通知前に自ら修正申告した場合は、過少申告加算税が課されない、または軽減される一方、通知後や調査中の修正は原則として通常の加算税がかかります。
放置のリスク
「怖いから後回し」にすると、結果的に延滞税も加算税も重くなり、心理的な負担も増すため、「気づいた瞬間が一番安く済ませられるタイミング」と考えるのが合理的です。
リスク2:修正申告と更正の請求を取り違える
「追加納税なのか還付なのか」を間違えると、損をします。
追加納税が必要なら修正申告
税額が増える場合に使う手続きであり、追加税とペナルティを納めることになります。
納めすぎていた場合は更正の請求
税額が減る場合の手続きで、5年(一定の場合は7年)以内に請求すれば還付を受けられます。
例えば、「新たな相続人が見つかって基礎控除が増えた」「未分割の後に税額が減る分割方法に変えた」といったケースで修正申告を選んでしまうと、本来受けられる還付を逃す危険があります。
リスク3:自分で修正申告して再度ミスをする
複数の専門サイトでは、「修正申告を自分で行うリスク」として次のような点が挙げられています。
財産評価の誤り
土地や非上場株式の評価を再計算する際に、路線価・地積・補正率などを誤れば、さらに不正確な申告になりかねません。
特例の要件判断ミス
小規模宅地や配偶者控除の要件を誤解したまま修正すると、「本来使えた特例を外してしまう」「逆に使えないものを申告してしまう」リスクがあります。
書類不備や期限の見落とし
必要書類の漏れや、時効・更正期間の誤認により、せっかくの修正が無効になったり、再提出を求められたりする可能性があります。
このように、「金額のミス+手続きのミス」が重なると、ペナルティだけでなく再作業の負担も大きくなります。
よくある質問
相続税の修正申告をすると、必ずペナルティがかかりますか?
追加税額には原則として延滞税がかかり、状況によって過少申告加算税や重加算税も課されますが、調査前に自主的に修正すれば加算税が軽減・免除されるケースもあります。
延滞税の税率はどのくらいですか?
令和4〜7年の期間は、納期限から2か月以内が年2.4%、2か月を超える期間が年8.7%の税率で計算され、原則として1年分が上限です。
過少申告加算税はどのようなときにかかりますか?
期限内に申告はしたものの、税額が少なすぎた場合に、追加税額に対して原則10%(一部15%)などの税率で課されますが、自主修正なら軽減される場合があります。
重加算税になるのはどんなケースですか?
財産の隠蔽や二重帳簿など、仮装・隠蔽が行われたと税務署が判断した場合で、追加税額に35〜40%程度の高率が課される重いペナルティです。
修正申告をしないで放置するとどうなりますか?
税務調査などで発覚した際に、延滞税に加えて過少申告加算税や重加算税が課される可能性が高まり、結果として負担が大きくなります。
修正申告には期限がありますか?
明確な提出期限はありませんが、原則5年(重加算税対象なら7年)の更正期間内に行う必要があり、早いほどペナルティ負担は小さくなります。
修正申告をすると税務調査に入りやすくなりますか?
修正申告自体が即調査につながるとは限りませんが、内容によっては税務署の関心を高める可能性があるため、根拠資料を整えたうえで適切に対応することが大切です。
修正申告は自分でしても大丈夫ですか?
法的には可能ですが、財産評価や特例要件の判断を誤ると再度の修正や追加ペナルティのリスクがあるため、金額が大きい・内容が複雑な場合は相続税専門税理士への依頼が推奨されています。
名古屋のような都市部でも修正申告のペナルティは同じですか?
ペナルティの制度・税率は全国共通ですが、都市部では不動産・金融資産が複雑になりやすく、評価ミスから修正申告・税務調査につながるケースが多いとされています。
まとめ
相続税の申告で修正申告を行うときのペナルティは、主に延滞税と加算税(過少申告加算税・無申告加算税・重加算税)で構成され、特に延滞税は日数経過に応じて増えていきます。
ペナルティの重さは、「税務調査前に自主的に修正したか」「単なるミスか故意か」「申告期限からどれくらい時間が経ったか」によって大きく変わり、早期の自主修正ほど負担が軽くなる仕組みです。
「修正申告の最大のリスクは、”怖くて放置すること”」であり、間違いに気づいた時点で迅速に対応することが、延滞税・加算税・税務調査リスクを最小限に抑える最善策です。
修正申告か更正の請求か、ペナルティの有無・軽減余地、時効や評価のやり直しなど、自分だけで判断するには難しい論点が多いため、一定の金額・複雑さがある場合は相続税専門税理士と一緒に方針を決めることが合理的です。
相続税の修正申告のペナルティとリスクを正しく理解し、「早めの相談・早めの修正・専門家の活用」という3つを押さえることが、家族全体の金銭的・心理的負担を最小限にする最も確実な対応と言えます。









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