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2019年12月26日

相続税対策をとして活用されている生前贈与。具体的に、どれくらいの金額を節税できるのでしょうか。このページでは、生前贈与で節税できる具体的な金額と暦年贈与の注意点、その他の活用できる制度などを紹介しています。相続税や贈与税などが気になる方は参考にしてください。

生前贈与で相続税を節税!金額にどれくらいのインパクトがある?

生前贈与は、相続税を節税する方法として活用されています。どれくらいの金額を節税できるのでしょうか。

相続税の基本的な考え方

相続税は、亡くなった方(被相続人)の相続時の財産の価額に対して課税されます。よって、被相続人の財産を減らすことで、相続税額も減らすことができます。財産を減らす方法のひとつが生前贈与です。

 

相続税の税率

相続税の税率は次の通りです。

法定相続分に応ずる所得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
1,000万円超3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超1億円以下 30% 700万円
1億円超2億円以下 40% 1700万円
2億円超3億円以下 45% 2700万円
3億円超6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

出典:国税庁:No.4155?相続税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

以上の税率をもとに計算した法定相続人ごとの税額を合計したものが相続税の総額です。ちなみに、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で求められる基礎控除額が設けられています。

 

相続税額をシミュレーション

以下の条件を設定して相続税額をシミュレーションします。

・相続人:配偶者と子供2人
・相続財産:現金・預貯金など:5800万円

課税遺産総額は、「5800万円-4800万円(3000万円+600万円×3人)=1,000万円」です。よって、相続税の総額は100万円(1,000万円×10%)となります。

同じ条件で、生前贈与100万円を行うと相続財産は5700万円となります。よって、相続税の総額は90万円(900万円×10%)となります。

※節税できる金額は、条件などにより異なります。一例としてお考え下さい。
※配偶者の税額軽減を適用する前の税額です。

 

暦年贈与であれば年間110万円まで非課税

贈与を行うと、贈与した金額に応じて贈与税を課されます。ただし、暦年贈与であれば一定額まで非課税となります。暦年贈与とはどのようなものなのでしょうか。

 

暦年贈与とは

暦年贈与は、1月1日~12月31日までに贈与を受けた財産の合計価額が110万円(基礎控除額)以下であれば贈与税がかからないとする規定です。110万円を超える場合は、贈与を受けた財産の合計価額から110万円を引いた金額に対し税率をかけ贈与税額を計算します。1月1日~12月31日までの間に2人以上あるいは同じ人から2回以上の贈与を受けた場合は、これらの合計で贈与税額を計算します。

 

まとまった金額を複数回に分けて贈与する場合は注意

暦年贈与の基礎控除を利用すれば、贈与税を課税されずにまとまった財産を贈与できます。ただし、最初からまとまった財産を贈与する予定だったと税務署に認定されると、まとまった財産に対して贈与税が課されます。例えば、贈与税の課税を避ける目的で1,000万円を10回に分けて毎年贈与したと認定されると、1,000万円に対して贈与税が課税されます。心配な方は、税理士などに相談しつつ節税対策を講じましょう。

 

その他の非課税枠を使って贈与税を節税する方法

→相続税だとおかしいので、贈与税に変更しています。

暦年贈与以外にも贈与税を節税する方法はあります。代表的な制度を紹介します。

 

教育資金の生前贈与は1,500万円

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合、一定の条件を満たすことで1,500万円(学校等以外は500万円)に相当する部分に対する贈与税が非課税となります。主な条件などは次の通りです。

・期間は2021年3月31日まで
・受贈者の年齢が30歳未満
・贈与者は受贈者の直系尊属
・贈与を受ける年の前年の合計所得金額が1,000万円以下

出典:国税庁:No.4510?直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm

制度を利用するには、信託銀行・銀行・証券会社で口座を開設する必要があります。贈与者が亡くなった場合は、亡くなったときの残額のうち、亡くなる前3年以内に行った財産を相続財産に加算します(一定の場合の除く)。

 

住宅購入資金の生前贈与は1,200万円

→文言の調整が必要かもしれません
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一定の条件を満たすことで最大で3,000万円まで贈与税が非課税になります。具体的な金額は、時期や住宅の構造などで異なります。主な条件などは次の通りです。

・期間は2021年3月31日まで
・受贈者は贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上
・贈与者は受贈者の直系尊属
・贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下

出典:国税庁:No.4508?直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

 

配偶者へ自宅の贈与は控除が2,000万円

贈与の時点で婚姻期間が20年以上ある夫婦間で、居住用不動産あるいは居住用不動産の取得にかかる資金の贈与があった場合、一定の要件を満たすことで2,000万円まで贈与税が非課税になります。主な条件は次の通りです。

・贈与があった年の翌年3月15日までに、贈与で取得した居住用不動産、あるいは贈与された資金で取得した居住用不動産に受贈者が住んでおり、引き続き住み続ける予定である

出典:国税庁:No.4452?夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm

 

相続時精算課税を活用して2,500万円

相続時精算課税制度は、特定の贈与者から贈与を受けるときにその贈与税を支払い、特定の贈与者の相続が発生したときに贈与財産と相続財産をもとに計算した相続税額から既に支払った贈与税を控除できる制度です。贈与税額は、相続時精算課税制度を選択した贈与財産から2,500万円を控除した後の金額に20%を乗じて算出します。適用対象者は次の通りです。

・贈与者:贈与する年の1月1日時点で60歳以上の父母又は祖父母(特定贈与者)
・受贈者:特定贈与者の推定相続人となる直系卑属または推定相続人ではない孫のうち贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上のもの

適用対象者は、暦年課税制度の代わりに相続時精算課税制度を選択できます。特別控除額の2,500万円は、特定贈与者ごとの金額です。また、累計で2,500万円なので、複数回にわけて利用できます。

出典:国税庁:No.4103?相続時精算課税の選択
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm

 

相続税の金額が気になる方は生前贈与を活用しましょう

相続税は、亡くなった方の相続時の財産の価額に対して課税されます。よって、財産を減らすことで相続税も減らせます。財産を減らす方法のひとつが生前贈与です。ただし、贈与を行うと贈与税を課税される可能性があります。暦年贈与の場合、年間110万円を超えた部分に対して贈与税が課税されます。相続税に加え贈与税が気になる方は、贈与税が非課税になる制度を活用するとよいかもしれません。これらの制度には、さまざまな条件が設けられています。不明な点は税理士などに相談するとよいでしょう。

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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