不動産を相続した場合、必ず行うべきなのが「相続登記」です。
登記は絶対ではないものの放置しまうと、権利を持たない者が不動産を勝手に売却するなどの問題点が浮上します。さらに今後ふたたび相続が起こった際に、トラブルの原因になる可能性も。
相続登記は「委任状」を作成することで他人によって登記してもらうことも可能ですが、委任状はやや複雑なのでよく理解しておく必要があります。
この記事では相続登記で委任状が必要になる場合について詳しく解説していきます。
目次
「相続登記の委任状とは」
委任状とは以下の状況下で作成する文書もしくは書類のことです。
1) 自ら事務ができない状況で他人に任せるとき
2) 他人に代理権を与えることを示すとき
つまりは相続登記を自分で行わず、他人に任せるときに必要となるのが「委任状」になります。
「相続登記で委任状が必要なケースの判断基準」
相続登記の委任状が必要なケースとその判断基準について解説します。
「必要になるケース」
相続登記において委任状が必要になるケースは、自分で登記することなく他人に相続登記を依頼したり任せたりするときになります。
自ら登記しない場合は必ず委任状が必要になるものの、以下のような場合は登記できません。
1) そもそも委任状がない(用意されていない)
2) 委任状に不備がある
例を出してみましょう。
この場合、Aさんがしっかりと相続を受け取るためには、Aさん本人から子供に対する委任状が必要になります。
「不要になるケース」
相続登記における委任状が不要になるケースは大きく分けて2つあります。
1) 本人が登記申請するケース
2) 法定代理人が登記申請するケース
1は言うまでもなく本人が登記そのものを行うので委任状は必要ありません。また、遺言書に記載されている内容によっても不要になるケースがあります。
例えば遺言書に「長女が不動産を取得する」と指定されている場合、長女本人が登記申請を行うことで委任状は不要になります。
2は法律上権利の認められる「法定代理人」が登記するため、委任状を作成する必要性がありません。そもそも委任状は他人に対して代理権を与えたことを証明するために必要な書類なので、法定代理人の場合は不要になります。
「法定代理人に該当する人物」
法定代理人に該当する人物は次のとおりです。
・親権者(未成年者の親)
・成年後見人
・未成年後見人
法定代理人であれば委任状の作成および申請は不要です。
「相続登記のための委任状の書き方と注意点」
相続登記のための委任状の書き方と注意点について解説します。
「委任状の雛形」
相続登記のために必要な委任状の雛形を以下に用意しました。
雛形を参考に作成すれば、特に難しい点はありません。
「注意点」
委任状を作成する際、次のような注意点があります。
1)住所を正確に記載する
2)不動産の表示を正確に記載する
3)登記の目的
上記以外にも注意点はいくつかありますが、この記事ではこれら3つの注意点についてそれぞれ詳しく解説していきます。
「住所を正確に記載する」
委任状作成で多く見られるミスは誤った住所記載です。
言うまでもなく委任者をはじめ、受任者、相続人それぞれの正しい「住所」を記載する必要があります。
記載が間違っていると登記申請を受け付けてもらえないので、事前に住民票を取得し、正確に書くように心がけましょう。
「不動産の表示を正確に記載する」
不動産における表示も正確に記載する必要があります。
ミスのないよう記載するためにも、不動産の「全部事項証明書」を見ながら書き写しすることをおすすめします。
「登記の目的」
委任状には「登記の目的」という欄があります。
書き方としては立場によって一言記載するだけで問題ありません。
1) 被相続人が不動産を単独で所有していた場合
「登記の目的」欄に「所有権移転」と記載する
2) 被相続人が不動産を共有していた場合
「登記の目的」欄に「○○(被相続人の氏名)持分全部移転」と記載する
「作成が困難・時間がないときは…」
相続登記において委任状が必要になる場合、できるだけ迅速にしっかりと作成しなければなりません。しかし人によっては都合で作成が困難だったり、時間が確保できないこともあると思います。
そんなときは専門家に相談にして負担を減らしましょう。
司法書士なら相続登記を依頼できるので、必要な書類を揃えるだけでOKになります。