相続登記と関係が深い原本還付。具体的に、どのようなものなのでしょうか。このページでは、原本還付の概要と行うメリット、相続登記時の請求方法などを解説しています。多少の手間はかかりますが、行う意味はあります。相続登記を控えている方は、概要や請求方法などを押さえておきましょう。
目次
原本還付とは何か
相続登記と関係が深い原本還付とはどのようなものなのでしょうか。
コピーを提出し原本を返してもらう手続き
原本還付は、登記申請時に添付書類の原本とそのコピーを一緒に提出することで、登記完了時に、一部の書類を除き、添付書類の原本を返却してもらう手続きです。原本還付を行わない場合、添付書類の原本は法務局で保管されます。
つまり、返却してもらうことはできません。原本還付は、メリットを感じやすい手続きといわれています。具体的に、どのようなメリットがあるのでしょうか。
原本還付のメリット
原本還付には、大きく3つのメリットがあります。メリットの内容を詳しく見ていきましょう。
返却された書類を相続手続きに使える
原本還付を行う最初のメリットとして挙げられるのが、返却された書類を遺産相続手続きに利用できることです。銀行預金の引き出しなどには、遺産分割協議書、被相続人の除籍謄本、戸籍謄本、印鑑証明書など、登記申請と同じ書類が必要になります。
原本還付を利用すれば、登記完了後にこれらの書類が返ってくるので、同じ書類を何通も用意する必要がなくなります。慌ただしい時期に面倒な手間を省ける点は、原本還付の大きなメリットといえるでしょう。
無駄な費用をかけなくてよい
2つ目のメリットとして挙げられるのが、遺産相続にかかる費用を節約できることです。遺産相続に必要な書類の作成には、手間だけでなくお金もかかります。1通あたりの費用はそこまで高くありませんが、何通も作成するとまとまった金額になります。
例えば、除籍全部・個人事項証明書の交付手数料は1通あたり750円です。原本還付で返却された書類を遺産相続手続きに再利用することで、無駄な費用を払う必要がなくなります。遺産相続にかかる費用を節約できる点も原本還付のメリットです。
大切な書類を手元に残せる
以上のほかでは、遺産分割協議書など、大切な書類の原本を手元に残せる点もメリットとして挙げられます。遺産相続に関係する書類の原本を手元に残すことで、安心感が生まれます。手間やコストが減るなどの直接的なメリットではありませんが、見逃せないポイントといえるでしょう。
相続登記の場合の原本還付請求の方法
続いて、相続登記時の原本還付請求の方法を紹介します。
基本の請求方法
原本を返却して欲しい書類は、登記申請書に原本の代わりにコピーを合綴して、原本を添えて提出します。コピーの末尾には以下の記載が必要です。
・「上記は原本に相違ありません」と記載
・申請人の記名・押印
押印には、申請書と同じ印鑑を使用します。
複数の書類を返却して欲しい場合
複数の書類を返却して欲しい場合は、1枚目の書類あるいは最後の書類の末尾に「上記は原本に相違ありません」と記載、申込人の記名・押印をし、それぞれの書類に割印します。すべての書類に記名・押印などをしなくて良くなるので手間を省けます。
戸籍謄本などを返却して欲しいときは相続関係図を利用すると便利
相続登記では、通常、戸籍謄本・改正原戸籍謄本・除籍謄本の原本を添付することになります。これらの書類もコピーを提出することで返却してもらえますが、枚数が多いのでコピーをするとなると大変です。相続登記では相続関係説明図を提出することで、戸籍謄本、改正原戸籍謄本、除籍謄本のコピーの提出を省略できます(遺産分割協議書・印鑑証明書などは、コピーを添付して原本還付請求を行わなければなりません)。
相続関係図とは、被相続人と相続人の関係を図式化した書類です。相続関係図に記載された内容と戸籍謄本などで照明される相続関係に相違がないとわかることで原本を返却してもらえます。相続関係図は個人で作成できるほか、税理士などへ依頼して作成してもらうこともできます。
原本還付は相続登記時に行いたい手続き
原本還付とは、登記申請時に添付書類の原本とそのコピーを一緒に提出することで、登記完了時に添付書類の原本を返却してもらう手続きです。
原本還付を行うことで、法務局へ提出した書類をその他の遺産相続手続きに利用できるようになります。原本還付は、相続登記時に行いたい手続きといえるでしょう。戸籍謄本などの返却を受けたい場合は、相続関係図を提出すると便利です。相続関係図は税理士などに作成を依頼することができます。お困りの方は、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。