
遺言書の保管方法でお悩みではありませんか。よく考えずに保管するとトラブルにつながることがあるので注意が必要です。遺言書はどのように保管すればよいのでしょうか。このページでは、おすすめの遺言書の保管方法と気を付けたいトラブルを紹介しています。気になる方は参考にしてください。
目次
遺言書の保管に関するトラブルは多い
遺言書の保管に関するトラブルとして、以下の例などが挙げられます。
遺言書を見つけてもらえない
最初のトラブルとして挙げられるのが、遺言者が亡くなった後も遺言書を見つけてもらえないことです。遺言者の多くは、自分が亡くなるまで誰にも気づかれず遺言書を保管したいと考えます。簡単には見つからないところへ保管した結果、遺言者が亡くなっても見つけてもらえないことや、誤って捨てられてしてしまうことがあるのです。数年後に見つかると、遺産分割協議をやり直さなければならない恐れがあります。気を付けたいトラブルのひとつといえるでしょう。
保管を依頼した人に書き換えられた
次のトラブルとして、遺言書の保管を依頼した人に内容を書き換えられることや廃棄・隠匿されることが挙げられます。相続人の誰かに遺言書の保管を依頼する方法は「遺言書を見つけてもらえないトラブル」を防ぐ確実な方法ですが、以上のリスクを伴います。また書き換えが行われなくても、保管した人に有利な内容だと書き換えを疑われる恐れもあります。相続人の誰かに保管を依頼することはあまりおすすめできません。
遺言書の保管方法はよく考えるべき
以上のほかにもさまざまなトラブルがあります。遺言者の意思を伝える大切な書面なので、保管方法は慎重に選ぶべきといえるでしょう。遺言書はどのように保管すればよいのでしょうか。
おすすめの遺言書の保管方法と注意点
遺言書の保管方法にお悩みの方は、次の方法を検討してみてはいかがでしょうか。
相続に利害関係のない知人に預ける
遺言を保管する最もお手軽な方法は、相続に関係のない知人に預けることです。メリットは遺言書を書き替えられるリスクが低いこと、デメリットは遺言者が亡くなったことを伝えづらいことです。デメリットは相続人に遺言書を預けていると教えておくことで解決できます。また遺言書を預かった人は、遺言書を開封するときに家庭裁判所で検認手続きを行わなければなりません。よって多少の知識がある人が望ましいといえます。
遺言書作成に関する専門家に預ける
適切な知人が見つからない方は、遺言書を作成するときに相談した専門家に預けるとよいでしょう。専門的な知識を有するので保管には最適です。相続人に遺言書を預けていることを伝えておけば、遺言者が亡くなったことも正確に伝わります。注意点は専門家が先に亡くなった場合、遺言書の保管があやふやになってしまう恐れがあることです(知人に預ける場合も同様です)。
銀行や信託会社のサービスを利用する
専門家や知人が先に亡くなってしまうことが心配な方は、銀行や信託会社のサービスを利用するとよいでしょう。例えば銀行の貸金庫を利用する方法や、信託会社の遺言信託サービスを利用する方法などが考えられます。法人に預けるので、遺言者より先になくなる恐れがない点はメリットです。ただし保管料が割高になる恐れや、遺言書を確認するときに手間がかかる恐れはあります。
法務局における遺言書保管制度もスタート
相続をめぐる紛争を防止するため、法務局は令和2年7月10日から遺言書保管制度をスタートします。遺言書の保管方法にお悩みの方は、利用を検討するとよいでしょう。遺言書保管制度とはどのようなものなのでしょうか。
保管申請の対象は自筆証書遺言
保管申請の対象になるのは自筆証書遺言書だけです。また法務省令で定めた様式で作成されて封をしていないことも求められます。
遺言者の住所地などを管轄する遺言書保管所に申請
申請は遺言者の住所地、本籍地または遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所の遺言書保管官に対して行います。申請は遺言者が自ら出向いて行わなければなりません。
相続人・受遺者などは遺言書原本の閲覧請求などをできる
相続人あるいは受遺者などは、遺言者が亡くなったあと、遺言書原本の閲覧請求や遺言書情報証明書(遺言書の画像データを用いた証明書)の交付請求を行うことができます(遺言者の生存中は、本人しか閲覧などを行えません)。
保管・閲覧請求などには手数料がかかる
遺言書の保管申請、遺言書の閲覧請求などには手数料がかかります。
出典:法務省:法務局における遺言書の保管等に関する法律について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
遺言書の保管方法は慎重に選びましょう
遺言書を作成すると安心してしまいがちですが、保管方法を誤るとトラブルにつながる恐れがあります。例えば相続人に預けて内容を書き換えられてしまうことや、破棄・隠匿されることなどが考えられます。遺言書を作成する方は、保管方法までよく考えましょう。おすすめの保管方法として、相続に関係のない知人に預けることや、遺言書の作成を相談した専門家に預けることなどが挙げられます。あるいは令和2年からスタートする、遺言書保管制度を利用することもひとつの方法といえるでしょう。