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2019年05月13日

自筆証書遺言とは自筆の遺言書のことで、誰でも手軽に作成できますが、遺言書書き方のルールが厳密に決められています。
ルールに則って作成されていない自筆証書遺言は遺言者の死後に無効とされることもあるため、基本フォーマットに沿って慎重に作成しなければなりません。
また、相続人同士のトラブルを防ぐため内容にも十分配慮しましょう。

自筆証書遺言とは

「自筆証書遺言」とは自分で作成した自筆の遺言書のことで、最も手軽に作成できます。
自分で作成することが前提となるため、家族や第三者による代筆では認められません。

また、自筆証書遺言は誰でもすぐに作成することができますが、遺言書は書き方のルールが厳しく定められています。
その理由は、書き方に沿って作成しなければ偽造や変造の恐れがあるからです。
もし、遺言書書き方のルールに則って作成されていない場合は、遺言書自体が無効となってしまう恐れがあるため細心の注意を払わなければなりません。

自筆遺言書の書き方にはルールがある

自筆で記入すること

自筆証書遺言は、全ての文章を自筆で記入しなければなりません。
最初の項目で家族や第三者による代筆は禁止されていると解説しましたが、パソコンやワープロなどで作成した印刷物も無効とされます。

また、遺言書につける財産目録については、以前は全てを自筆で作成する必要がありましたが、平成31年1月13日に施行された法改正により財産目録は自筆でなくても良くなりました。
ただし、財産目録を自筆で作成しない場合は全てのページに署名と押印が必要です。

今回の改正によって新設される同条第2項によって,自筆証書によって遺言をする場合でも,例外的に,自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録(以下「財産目録」といいます。)を添付するときは,その目録については自書しなくてもよいことになります。自書によらない財産目録を添付する場合には,遺言者は,Q4のとおり,その財産目録の各頁に署名押印をしなければならないこととされています。

出典:法務省:自筆証書遺言に関するルールが変わります。

上記の法務省からの通知のように、自筆証書遺言についての緩和措置が取られました。
また、文章内にある「Q4」に書かれている内容は、財産目録が片面のみに記載されている場合は片面のみの署名と押印、両面に記載されている場合は両面に署名と押印が必要であるというものです。
押印についてのルールは特にありません。

署名と押印をすること

自筆の遺言書に欠かせないものは、遺言者自らの署名と押印です。
上記の項目で解説した財産目録はもちろんのこと、遺言書自体にも署名と押印をしなければなりません。

遺言書自体にも押印についてのルールは特に定められておらず、実印以外の認め印でも可能です。
拇印でも有効とされていますが、遺言者自体のものだと判別しにくいため、印鑑のほうが間違いありません。

作成日を記入すること

自筆証書遺言には、文書を作成した日付を入れなければいけません。
注意するべきポイントは作成日を判別できるようにすることで、「吉日」などの文言は避け、「年」「月」「日」をしっかりと指定するようにしてください。

また、自筆証書遺言の場合は、作成日に関しても自筆であることが求められます。
スタンプやシール、印刷などを使うと遺言書自体が無効になるため注意しましょう。

正しく訂正すること

自筆証書遺言を書いている時に間違ってしまうこともあるでしょうが、正しく訂正しなければ遺言書が無効になる可能性があります。

まず、訂正する部分を二重線で消し、二重線の上に押印をしたら押印した横に正しい記入をしましょう。
そして、遺言書内に訂正をした事実を記入して署名をしなければいけません。
例えば「10行目4文字削除」「20行目2文字追加」などと遺言書の最後に記入してください。

訂正をした事実を記入する場所は特に決まっていないため、余白部分に記入しましょう。

遺言書が複数枚になった場合

遺言書が複数枚になった場合は契印が必要となります。
契印というのは、複数枚の書類がある場合に書類の順番が間違っておらず、他の書類が追加されていないこと、破棄されていないことを証明するための印鑑のことです。
契印の押し方は、書類全てに陰影が残るように押します。

複数枚になった場合は、まず全ての書類をホチキスなどで留めて全てに陰影が残るように契印を押します。
契印を押すことは必須条件ではありませんが、偽造されていないこと、改変されていないことを証明するために有効な手段で、自筆証書遺言が無効にならないための防衛手段でもあります。

念の為、作成が完了したら封筒などにまとめて入れて、封をして保管するようにしましょう。

録画や録音によるものは無効

自筆証書遺言の代わりに、ビデオへの録画、テープやICレコーダーへの録音を考える方もいますが、録音や録画は遺言として法的な効力を発揮しません。
法的に有効な自筆証書遺言は、自筆によって書面に記されたものだけです。

基本フォーマットと書く際に押さえるべきポイント

自筆遺言書の基本フォーマット

自筆証書遺言の基本フォーマットは、次の通りの流れで記入します。

  1. 表題(遺言書)
  2. 相続人の正式な氏名
  3. 相続人の氏名に対して「相続させる」という表記
  4. 相続させる理由や希望などの付言事項
  5. 作成日
  6. 住所
  7. 遺言者の署名と押印

作成日をしっかりと指定すること、自筆で記入することなど、自筆証書遺言書き方のルールを守るようにしてください。
それでは、基本フォーマットの流れに沿って遺言書を作成するポイントと注意点についてご紹介していきます。

遺言者の意思を明確にしておく

遺言者の意思を明確にして、はっきりと記載し誰にでも理解できるようにしておくことが大切です。
曖昧な記載があると、遺言書としての効力を発揮しないばかりか相続人同士でのトラブルに発展する可能性もあります。

基本フォーマットの3番である「相続させる」という文言も、「引き継ぐ」「受け継がせる」などは避け、「相続」という書き方をするようにしてください。

遺留分を侵害する可能性に配慮

遺留分とは法定相続分のことであり、自筆証書遺言では遺留分を侵害することもできますが、進退した場合、相続が始まってから「遺留分減殺請求」を行なうことが可能です。
遺留分減殺請求というのは、自分が持つ法定相続分の財産の相続を主張するもので、法的な手段によって行なわれます。

つまり、配偶者と子供2人が法定相続人である場合、自筆証書遺言で配偶者のみに全ての財産を相続させようとしても、子供2人が遺留分減殺請求を行なえば、子供2人にも相続の権利が与えられるということです。
遺留分を侵害すると、相続人同士でのトラブルになる可能性があるので注意しましょう。

遺言執行者を選んで指定しておく

遺言執行者とは、相続のために必要な手続きを1人で行なえる権利を持つ人のことです。
遺言者が相続人の中から選ぶこともできますが、手続きには専門的な知識が必要であるため、弁護士などの専門家を指定することもあります。

もし、相続財産の中に不動産などが含まれる場合、相続によって名義変更が行われますが、相続人以外への名義変更をするためには相続人全員が協力し合わねばいけません。
しかし、遺言執行者を指定しておけば、相続人全員の協力がなくても遺言執行者だけで名義変更の手続きを完了させられます。
そのため、不動産を遺贈する場合には、遺言執行者を指名すると手続きが簡易化されます。

遺言書の撤回は抵触する部分だけ

自筆証書遺言が2通以上作成された場合、新しい遺言書が有効となりますが、古い遺言書の全てが無効となるわけではありません。
新しい自筆証書遺言の内容が適用されるのは、古い自筆証書遺言の内容と抵触する部分だけです。
古いほうに記載されていて、新しいほうに記載されていない部分は、古い自筆証書遺言の内容が有効とされます。

自筆証書遺言の保管制度とは?

法改正によって、自筆証書遺言の保管制度が新たに設けられました。
法務局に作成した自筆証書遺言を持参し保管してもらう場合は、相続の際の「検認」という手続きが必要なくなります。

自筆証書遺言の保管制度を利用すれば、相続人の検認の手間を省くことができ、遺言書の偽造や改変のリスクもなくなるため積極的に利用しましょう。

自筆証書遺言の作成は慎重に

自筆証書遺言書き方のルールは厳しく決められており、ルールを守って作成しなければ無効の遺言書とされてしまう可能性もあります。
基本フォーマット通りに記入していけば良いのですが、訂正の仕方なども厳格に決められているため慎重さが要求されることは事実です。

また、遺言書の内容にも配慮が必要で、内容の不明瞭さや遺留分への侵害があった場合、相続人同士のトラブルに発展する可能性も考えられます。
自筆証書遺言の作成は非常に難しいため、相続専門の税理士などに相談の上、作成することをおすすめします。

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