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2018年02月27日

“相続において争いの原因となる遺産分割には、現物分割、換価分割、代償分割の3種類の方法があります。現物分割は、遺産を不動産は兄、現金は弟といったように現物ごとに取得する相続人を決める方法であり、所有権について争いとなる事はありませんが、民法に規定する法定相続分のとおりに分割できないケースが多く、相続人同士で争いとなるデメリットがあります。換価分割は全ての遺産を現金化して分割する方法であり、法定相続分のとおりに分割できますが、現金化するまでに多くの時間と手間が掛かる事がデメリットです。

代償分割は、特定の相続人が遺産を取得する代わりに他の共同相続人に代償財産を渡す方法であるため、所有権の争いは無く、現金化に係る時間や手間のリスクを回避する事がメリットです。例えば、遺産の内訳が実家の不動産評価額が3,000万円、預金が1,000万円、株式が500万円であり、相続人は被相続人と同居している兄と、離れて暮らしている弟と妹のケースで考えてみます。まず、法定相続人は子ども3人なので法定相続分は一人1,500万円です。同居していた兄にとって実家は自分の家でもあり、換価分割で実家を売却されると住む家を失う事になるため、現物分割で遺産を分けたいと考えます。しかし、そうなると兄は法定相続分より多く遺産を取得する事になり、共同相続人である弟は現金、妹は株式を取得しても法定相続分より少ない遺産しか貰えず不公平です。そこで兄は遺産を多く貰う代わりに、代償金として弟に現金500万円、妹に1,000万円を渡す事にしました。すると、兄は3,000万円の実家を取得する代わりに1,500万円の代償財産を支出したので、取得した財産は差し引き1,500万円、弟は現金1,500万円、妹は株式500万円と現金1,000万円の合計1,500万円を取得する事なり、所有権について争いが無く法定相続分のとおりに分割する事ができます。このように代償分割は、実家や家業で使用している設備など分割する事が難しい財産を分割する際に有効な方法です。

ただし、必ずしも法定相続分になるように代償財産を渡さなければならないというわけではありません。遺産を多く取得する相続人はできるだけ代償財産を少なくしたいと考え、それを受け取る相続人はより多く貰いたいと考えるため、代償財産の額で争いとなるケースがあります。そうした場合は弁護士などの専門家に相談して、お互いが譲歩できるように協議する事が大切です。

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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