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2016年11月15日

突然の出来事で、遺言書が作成されていない場合や、生前に特に相続に関する話が出ていなかった場合もあるでしょう。
そのような場合、遺産の相続の際の分割の方法が法律で定められています。
この分割の方法を「法定相続」と呼びます。

法定相続とは

遺産の相続にあたって、それぞれの相続人が相続する遺産の比率を定めた法律の一つです。
遺産相続の話合いで一番の争点となるのは、それぞれの相続内容でしょう。
もし、遺言書が遺されている場合には、遺言書の記載事項が故人の一番の望みであるこことから最優先とされます
遺言書がない場合には、この法律で定められた比率で遺産は分割されます。
しかし、法律で定められている内容は、あくまでも分割の比率のみです。
遺産が必ずしもすべて現金で遺されるわけではありませんから、不動産や株などの相続は簡単に分割ができない場合もあるでしょう。
ですが、そのような場合には、一旦現金による価値に換算し、それぞれの比率で分割をすることで、円満な相続となりうることでしょう。

法定相続人

具体的なケースでは

①夫(もしくは妻)が死亡 妻(もしくは夫)、子供2人が相続人となった場合
このような場合、法定相続の比率では、妻(もしくは夫)が遺産の50%を相続します。残りの50%を子供達2人で均等に分け、25%ずつの相続となります。

②夫(もしくは妻)が死亡 妻(もしくは夫)、子供が居ない場合
このような場合、妻(もしくは夫)がすべての遺産を相続する事になります。
この時の「妻(もしくは夫)」という定義は、法律上の婚姻関係にあることです。内縁関係の場合は、法定相続人とは認められません。

故人の父母や兄弟が法定相続人と認められる場合も

実は、相続にあたって、故人の父母や兄弟が法定相続人と認められる場合もあります。
そのようなケースは

  1. 配偶者、子供が居ない場合
  2.  
    この場合、父母が100%遺産を相続します。

  3. 配偶者はいるが、子供が居ない場合
  4. この場合、配偶者が遺産の2/3、父母が1/3を相続します。

子供がいる場合には、父母による相続は生じません。すべての遺産を子供が相続することなります。

    また、故人に兄弟がいる場合にも、相続が生じる場合があります。

  1. 子供、配偶者、父母が居ない場合
  2. すべての遺産を兄弟で均等に分け、相続することになります。

  3. 配偶者が居て、子供、父母が居ない場合
  4. この場合、配偶者が2/3、兄弟が1/3を相続し、兄弟で均等に分割します。

法定相続人の定義とは?孫は?養子は?非嫡出子は?

① 孫は法定相続人になる事が出来るのでしょうか?
もし、故人の子供が先に亡くなっている場合で、孫やひ孫が存命の場合、法定相続人としての権利が生じます。
分割の比率は、子供が相続する場合と同様に定められています。
この相続の方法を「代襲相続」と呼びます。

② 内縁関係の夫(もしくは妻)が死亡し、子供がいる場合には?
相続においては、配偶者の定義を法定の婚姻関係と定めています。ですから、この場合、内縁関係の妻(もしくは夫)には相続の権利が発生しません。しかし、子供には相続の権利が発生します。
この場合、遺産は子供達で等分をすることになります。

③ 養子の場合、法定相続は適用されるのでしょうか?
養子の場合、法的な養子縁組がされている以上は、実子と同等の相続に関する権利が認められています。

④ 嫡出子の場合、法定相続は適用されるのでしょうか?
嫡出子とは、婚姻関係にある男女の間に生まれた子供を意味します。
この場合、法定相続はもちろん適用されます。

⑤ 非嫡出子の場合、法定相続は適用されるのでしょうか?
この場合、ごく最近ではありますが、成25年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました。
法律の改正前は、非嫡出子の場合、嫡出子の1/2とされていましたので、大きな変化となりました。
配偶者は内縁関係ですから、法定相続は生じませんが、子供は嫡出子と同率で相続権が生じるということです。

⑥ 両親の再婚により、兄弟となった場合、法定相続はどのように適用されるのか?
この場合、嫡出子、非嫡出子と混同しやすいのですが、別の定めがあります。
法定相続人の原則は「血族」である事です。つまりは、故人との血縁があることが大原則なのです。
ですから、再婚によって婚姻関係になった配偶者には法定相続の権利が生じますが、子供には権利が生じません。
ですが、養子の場合は、法定相続が可能となるのですから、再婚後、子供と養子縁組をすることで、法定相続人とすることが可能となります。
再婚にあたって、遺産分割の観点から、入籍はするものの、養子縁組はしないという条件が提示される場合とはこのような意味合いからなのです。

遺産を遺すにあたって、法定相続とは異なる配分を希望する場合には、必ず遺言書を遺し、意思を伝えるようにしましょう。
また、相続に関する話し合いが円滑に進まず、弁護士や家庭裁判所への申し立てをする場合も、この法定相続の配分率が大前提となり適用されます。

  1. 法定相続と具体的なケース
  2. 故人の父母や兄弟が法定相続人と認められる場合も
  3. 法定相続人の定義とは?

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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