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2016年11月17日

「遺産」と聞くと、一般的には配偶者や子供が「相続」をすると考えることでしょう。
しかし、最近は家族の形も多様化し、昔のように戸籍上の関係を第一に考えるのではなく、その関係よりも優先される間柄があると認められるようになっています。

海外では、遺産のすべてを慈善団体に寄付をする、遺されたペットへ相続させるという、驚くような事例も数多くみられます。

日本でも、最近、別居している家族ではなく、慈善団体への寄付や介護士、家政婦へ遺産を遺すという事例が増えてきて話題になっています。

家族以外でも相続は出来る?

そもそも、戸籍や血縁関係の無い間柄であっても相続は出来るのでしょうか?

この点は、まったく問題なく相続が可能です。
もちろん、相続にあたっては、正式な形で残された「遺言書」の存在が重要です。

もし、家族以外へ遺産を遺したいと意思を固めたのであれば、公正役場を利用し、正しい形で遺言書を遺し、保管をしておくとよいでしょう

①詳しい内容を記述しましょう
「財産のすべて」などという曖昧な記述では、相続の話し合いの席で、トラブルになる事は間違いないでしょう
ですから、不動産に関しては所在地、名義人、面積などの詳細を必ず記載しておきましょう。

②理由を記述しましょう
どんなに生前に親しい間柄であったり、世話になった間柄であっても、遺産に関して、家族以外の人間が受け取るともなれば不快感を感じる人間も少なくはありません。
ですから、どのような経緯で判断を下したのかを記載しておくことで、余計なもめ事の回避ができるでしょう。

遺言書を無効にするには?

家族以外の相続に際しては、故人の意思とはいえ、納得できないと感じる場合もあるでしょう。
このような時、何か方法はあるのでしょうか?

裁判所への申し立て
もし、遺言書が正式な形で作成されている場合であれば、裁判所へ申し立てを行っても無効とはなりません。
ですが、本来の相続人である配偶者や家族には法定相続分があるので、相続がゼロになるということはありません。

遺言書を破棄してしまったら
話し合いの場で、遺言書を破棄してしまうということもあるでしょう。しかし、公正役場へ預けてある場合には、原本が保管されていますので、支障なく遺言は実行されます。

遺産と遺言

事前に知らせる義務はないの?

家族以外へ遺産を遺したいと考えている場合、本来の相続人へ事前に知らせておく義務はあるのでしょうか?

法的には、そのような義務はありません。
遺言があくまでも、本人が亡くなった後で開示され、効力を持つものです。ですから事前に告知をする必要はありません。

ですが、突然の知らせに相続人全員が納得しない場合もあるでしょう。
法的な義務はないとはいえ、事前に専門家や相続人への相談はしておいた方がよいといえるでしょう。

内縁関係にある場合には

今や家族の形も様々で、入籍をせずに「夫婦」という形を取る場合もあります。
未入籍の場合、居住年数、事情に関わらず法律上は「内縁」関係と定義されます。

この定義にのっとり、相続を見てみると

①内縁関係の場合、法定相続の対象には含まれません。
配偶者としては、見なされないので、法定相続分を受け取ることはできません。

②遺言書があれば、受け取りが可能に
正式な遺言書が残されている場合には、その内容に沿って遺産を受け取ることが可能です。ですが、故人に法律上の配偶者や子供がいる場合には、法定相続分を差し引いたうえでの財産の相続となります。

③「特別縁故者」という制度も
もし、故人に「法定相続人」が1人も居ない場合、内縁関係にある立場の人が「特別縁故者」という申し立てを行い、認められることで、正式に遺産を相続することが可能となります。

「法定相続人」とは、配偶者や子供はもちろんのこと、両親、兄弟などの親族も含まれます。
全員が死去ということではなく、同意の上で相続放棄をする場合も「1人も居ない」ということとして認められます。

つまりは、故人に内縁関係にある存在があった場合で、遺言書がない場合には、全法定相続人との話し合いの上で、合意を得られれば、遺産の相続が可能となるのです。
ですが、もし法定相続人のうち1人でも、遺産放棄を断り法定相続を主張した場合には、「特別縁故者」にはなる事ができないということなのです。

内縁関係で遺産を相続した場合には

法定相続人の場合同様に、相続税の申告、納税の義務が生じます。

申告、納税の期限は、10カ月です。
相続をすることが決まった日から、10カ月以内に故人の居住地を管轄する税務署へ相続税の申告、納税を行いましょう。

この点は、法定相続人の場合と大きく異なりますので、注意が必要です。
「相続をすることが決まった日」というのは、遺言書が開示された日や特別縁故者となることが認められた日などを意味します。ですから、故人の亡くなった日とは異なります。

②相続税の計算式も異なります
相続税の計算は、20%増の税率となります。
計算の際には、法定相続分の差し引きはもちろん、入院費用、葬儀代、お墓代などもしっかりと計算したうえで算出が必要となるでしょう。
難しいと感じる場合には、専門家へ相談をしましょう。

  1. 家族以外に相続が認められる事例
  2. 遺言書を無効にする方法
  3. 内縁関係で遺産を相続した場合

代表プロフィール

税理士法人エール
永江将典

近畿税理士会所属。税理士法人エールの代表税理士を務める。
相続の申告をする方のストレスを減らしたいという思いで2012年で開業。

生前対策や相続税申告だけでなく、
遺言書・遺産分割協議書の作成や成年後見人、相続登記など、様々な相続事案に対応。
相続に関するすべてのことが解決できるサービスを提供している。

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