“婚姻関係にある夫婦のどちらかが亡くなった時、残された人が相続する財産に関する税金(相続税)が軽減される「配偶者控除」という制度が日本にはあります。これは税金がまったくかからないということではなく、課税される税額が少なくなります。一緒に助け合って生活を共にしてきた夫婦において、お互いの財産を作ったり守ったりしてきたというとても大きな役割がお互いにあり、残された方の先の老後生活を保障も必要となります。このような理由からこの制度が存在しています。また、この制度は婚姻の届出が必要となっていて、婚姻期間の長さは関係せず適用となります。婚姻期間が1日間だったとしても控除の対象となりますが、隠ぺいされていた財産等はその対象とはなりません。
その具体的な内容は、被相続人の配偶者の相続する遺産額が「1億6千万円もしくは配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額が上限となり相続税がかからないということになります。計算式は以下のようになります。
「配偶者控除額=相続税額×(上記の少ない方どちらかの金額)/課税価格合計」
この遺産額とは、遺産分割、遺贈などによって取得した現実的な額です。
この制度を利用する際の手続きでは、詳細を記入した相続税申告書、戸籍謄本、遺言書の写し、遺産分割協議書の写し(この場合は印鑑証明書も必要)などの財産を示す書類を提出します。この制度で控除を受ける場合には、申告期限までに申告書の提出と、相続分の決定が必須となるわけですが、何らかの理由でこの期限までに分割ができなかった財産については、期限より3年以内に分割となった際に税額軽減の対象となる救済処置もあります。申告書の基本的な提出期限は、被相続人が亡くなった日の翌日を初日と数え10ヶ月以内となっていますが、相続人が多い場合など話し合いがうまく回らずに相続分が決定しないことも少なくありません。その場合には、まずこの制度を利用せずに申告と納税をする必要があります。その際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を一緒に提出しておくことで、のちほど配偶者控除を受けることができます。この期間の中でしっかりと遺産分割が決定した折には、その決定した翌日より4ヶ月以内に更生請求を税務署にすることで、還付を受けることができるようになります。もし3年以内に分割が完了していない場合には、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨承認申請書」という書類を提出することにより、その期間を延長してもらうことができます。”
配偶者控除による相続税軽減
2018年03月03日