財産評価基本通達の土地評価は減額主義。
各種調査は原価要因を探すためにするものである。
土地評価をする際は、「建物を建てられるかどうか」「建物を建て替えられるかどうか」を見極めるのが一番重要。
もちろん役所にも必ず行って調査する必要がある。
机上調査
必ず入手しなければならないものは「公図」。
公図は「土地形状」「接道状況」「近隣地との位置関係」を確認するために必要なもの。
ただし、重要という認識がないのか、入手しない人が多いく、入手をしなかったから昔利用したものを無理やり活用とする人もある。
土地は変わっている可能性もあるので相続時点に近いものを収集する必要がある。
公図の活用
・無道路地ではないかどうか
・非課税であるべき道路が評価対象地の面積にふくまれていないか
・水路や赤道が評価対象地の中に介在していないか
・評価対象地に接する道路が公道か私道か
・地役権や区分地上毛県に準ずる地役権を確認
公図法第14号地図
地図に準ずる図面
→相続時点に近いものが必要。線は常に変わるので最新のものを。
公図を見ていて、市や区等が所有している道のような形状の土地があっても「公道」とは限らない。
「私道」として提供している道のような土地がある可能性もある。
また、私道がある場合は宅地と私道を切り分ける必要が出てくる。
地積測量図
測量していないところを測量しているようにして申告するとすぐに税務署にバレる。
測量図がたまたまあったからそれをそのまま使う、というのはできない可能性がある。
これは、土地は相続するけど建物は相続しない場合や、相続計算する場合は一緒に計算をしないといけない場合、地積測量図だけだと土地の面積よりも建物の面積の方が広い場合もある。
また、隣の土地を計算することによって新たな発見をして変わる可能性もあるので現況に近い数量で申告することが重要。
現地調査
減額の要素を探しに行くためにはやはり現地調査は必要。
現地調査をする際はロードカウンターやレーザー距離計を持っていくといい。
道路がギリギリ4メートルあるかどうか微妙な際はロードカウンターなどではかる必要がある。
ただし側溝がある場合は、側溝の状態によって公道の長さが変わるので、あらゆる場合を想定して測っておく必要がある。
特に蓋がない側溝の場合はどの位置ではかっているのか分からないのでいくつか図っておく必要がある。
ただ、あくまで現地調査では減額の要素を見つけるためなので、明らかに道で、明らかに4メートル以上の場合図る必要がない。
又、道路といってもさまざまな道路がある。
舗装されていないところや、舗装はされているが両側に土があって境目が分からない、という場合も有るので事前確認も必要。
役所調査
土地評価をする際の過大評価を防ぐためには役所で調査は欠かせない。
「セットバック」「都市計画道路予定地」「生産緑地」「無道路地」「私道」「土地区画整理事業地内の土地」「水路・赤道」「1宅地の中で容積率が異なる土地」「市街化調整区域内の土地(しんしゃく割合)」「文化財建造物の敷地」「保安林、特別緑地保全地区」「貸し付けられている農地」
評価対象地にこのような減価要因がないのか確認する必要がある。
役所には「建築指導課」「建築課」「都市計画課」「まちづくり課」「土地区画整理課」「土地区画整理組合事業所」「河川管理課」「開発指導課」「教育委委員会」「森林部」「農政課」「農業委員会」等の調査窓口があるのでそこで確認をする。
※役所の調査窓口の名称は各行政によって異なるので要注意。
近年では多く役所でインターネットサービスがあるのでそちらでまずは確認すると役所で減価要因を探すのはスムーズにいくのではないか。
また、役所調査には評価作業を楽に進めるための資料を入手する、という目的もあるので土地評価をする際には、全体の流れを想定してから動くのがいい。
重要な5つの減価要因
- 無道路地
「道路に接していない土地」
これは建物が建てられない土地。
財産評価基本通達では、道路に接していない宅地も接道義務を満たさない土地も評価方法は同様。
無道路地かどうかを見極めるためには「都市計画区域内、準都市計画区域内の接道義務」が満たされているかどうかを見る。
接道義務は建築基準法、その他の法令・条例等において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件で、「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない」とされている。
- 都市計画道路予定地
都市計画道路予定地は建築制限があり、これによって土地の価値が下がる。
(都市計画道路予定地の区域内では、将来的に道路として買収されるので、建物は撤去が容易な構造・規模のものしか建てられないようになっている)
都市計画道路予定地の許可基準は階数2以下で、かつ、地階を有しないこと。
主要構造物が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。
- セットバック
- 拡大地
開発許可面積の基準はあくまでも原則で、絶対条件ではなく目安にすぎない、という形式的な基準。
評価対象地に建物(2階建てアパート、3階建て賃貸マンション、倉庫、店舗など)が建っていても広大地に該当する場合も。
土地評価をする際、開発想定図は必ず添付すること。
- 利用価値が著しく低下している宅地
「高低差のある土地」「騒音のある土地」「近くに墓地がある土地」
利用価値が著しく低下している宅地として減価要因とされている。
土地評価の際はこの減価要因を漏れなく調べる必要がある。