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2019年07月01日

遺産分割協議証明書とは遺産分割協議書と同じ効力を発揮しますが、相続人の人数分の書類を作成してそれぞれに署名と捺印を行い、全て揃った時点で遺産分割協議が証明されるという書類です。

相続人が遠方に住んでいる場合、相続人の人数が多い場合に便利であり、状況によって使い分ける必要があります。

 

遺産分割協議証明書とは何?

 

「遺産分割協議証明書」とは、遺産分割協議によって決定された内容を記す文書のことです。

内容は遺産分割協議書と同じ効力を発揮し、遺産分割協議書の代わりとして法務局や税務署に提出する書類として使えます。

 

つまり「遺産分割協議を行った結果、以下のような内容で決定したことに相違ありません」という証明のために作成される書類です。

 

遺産分割協議書との違い

 

遺産分割協議書との最大の違いは、相続人の人数分に分割されているという点です。

遺産分割協議書は1通の書類であり、相続人全てが1通の書類に署名と捺印を行うことで完成します。

連名で署名捺印しなければならないため、1通の遺産分割協議書が全ての相続人の元を回る形式です。

 

しかし遺産分割協議証明書は、各相続人が1通の書類に署名捺印を行い、全ての相続人分の書類が集まった時点で遺産分割協議書と同様のものになります。

例えば遺産分割協議を5名で行った場合、それぞれの相続人が同じ書類に署名と捺印を行い、5通分が全て揃ったときに遺産分割協議が行われたと証明されます。

 

遺産分割協議証明書が向いている場合

 

向いているのは、相続人同士が遠方に住んでいるなどの理由で集まることが難しい場合です。

また相続人の人数が多い場合も遺産分割協議証明書のほうが適しています。

 

相続人5名が沖縄、北海道、東京、大阪、広島に住んでいた場合、1通の書類に5名分の署名捺印を行うのはとても大変でしょう。

遺産分割協議書を郵送する方法が現実的ですが、郵送であっても時間や郵送代がかかります。

 

東京に住んでいる相続人が代表者となって郵送する場合、東京→大阪→広島→沖縄→北海道→東京のように郵送する必要がありますが、1通ずつ用意されていれば東京から各地域の相続人に郵送して、署名捺印済みのものを返送してもらうだけです。

遺産分割協議証明書であれば、時間の削減と煩雑さの回避につながり、紛失のリスクも軽減されます。

 

相続人の人数が多い場合も、1通の書類に全ての署名捺印を集めようとすると管理が難しくなりますが、それぞれに1通ずつ書類を渡せば、署名捺印の抜けなども防ぐことができるでしょう。

 

遺産分割協議書が向いている場合

 

遺産分割協議書が向いているのは、全ての相続人が近くに住んでいてすぐに集まられる場合です。

相続人の人数が少なく、管理が難しくないときに適しています。

 

全ての相続人が近隣に住んでいて簡単に集合できる状況であれば、1通の書類にまとめて署名捺印を行ったほうがシンプルです。

書類を人数分作成しても意味が薄くなるため、遺産分割協議書をおすすめします。

 

また相続人の人数が少なければ署名捺印を集めることも時間がかからないため、1通にまとめたほうが管理しやすくなります。

例えば2人しか相続人がおらず同じ都道府県内に住んでいる場合などは、遺産分割協議書で全く問題がありません。

 

遺産分割協議証明書が必要となる場面とは

 

遺産分割協議証明書は相続の手続きを行うときに活用されます。

特に不動産の手続きをする際に必要ですが、その他相続税の申告や相続税申告、預金口座の引き出しでも利用されます。

 

不動産相続登記

 

相続した不動産の登記手続きを行う際に、遺産分割協議証明書が必要です。

遺産分割協議の内容を確認し、参加した相続人全員の同意を得ているかを確認するために利用されます。

ただし法定相続分で不動産を共有する場合は不要です。

 

相続税申告

 

相続税の申告は遺産分割協議証明書がなくても行えますが、特例を適用させるために必要となるため、節税対策には欠かせません。

 

〈控除を受けるための手続〉

相続税の申告書又は更正の請求書に税額軽減(配偶者控除)の適用を受ける旨を記載し、次の書類を添付して提出する必要があります。

 

1 戸籍の謄本など

2 遺産分割協議書の写し又は遺言書の写し

3 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)

 

出典:国税庁:家族と税

 

上記のように遺産分割協議書を必ず提出しなければなりません。

相続税の特例は小規模宅地の特例や配偶者の税額控除など、納税額が大幅に軽減されるものが多く、無税になる可能性も高いです。

適用される特例があれば、必ず遺産分割協議の内容を証明するための書類を作成しましょう。

 

預貯金の引き出し

 

被相続人が複数の預貯金口座を持っていた場合、遺産分割協議書や遺産分割協議証明書があると便利です。

遺産分割協議の内容を確認できる書類があれば、現金を引き出すための時間と手間を省けます。

 

遺産分割協議書を作成していない状態で故人の預貯金から現金を引き出す場合、全ての相続人に対して金融機関に設置されている用紙への記入が求められます。

預貯金口座を1つしか持っていないのであれば、用紙への記入は1回だけで済むでしょう。

しかし預貯金口座の数が多くなると、全ての金融機関の用紙に、全員が記入することはかなりの労力を要します。

 

しかし遺産分割協議書か遺産分割協議証明書を持参すれば、相続人全員が用紙に記入する必要はありません。

被相続人が複数の預貯金口座を持っているなら、負担軽減のために作成しましょう。

 

相続トラブル回避

 

相続手続きではありませんが、遺産分割協議証明書を作っておくことで相続トラブルを回避できます。

後々トラブルが発生しそうな場合は、遺産分割協議で決定された内容を公的に証明できるように、作成しておくことをおすすめします。

 

遺産分割協議証明書は誰が記載するの?

 

遺産分割協議証明書は相続人であれば誰でも作成可能です。

相続人の中から代表者を選出し、遺産分割協議証明書の作成や送付、収集を行うことが一般的ですが、相続手続きにも利用されるため、不動産を相続した人や相続の割合が大きい人が作成すると良いでしょう。

 

もちろん相続の専門家に依頼することもでき、相続内容に誤りが起きないよう、専門家に依頼される方も多いです。

 

遺産分割協議証明書の書き方

 

遺産分割協議証明書の書き方には、全ての財産を記載する方法と、各自が取得した財産のみ記載する方法の2種類が存在します。

 

全財産を記述する場合

 

全財産を記述する場合は、遺産分割協議書とほぼ同様の内容で作成します。

以下は2名の相続人がいた場合のテンプレートの一例です。

最後を見るとわかるように、妻(相続人甲)の分として作られたため、下記のテンプレートは1人分の署名捺印欄しか用意されていません。

 

 

 

遺産分割協議証明書

 

被相続人              ×××××

死亡日                  令和元年5月29日

最後の本籍           福井県福井市中央○丁目○○番地○

最後の住所           東京都大田区大森北○丁目○○番地○

 

被相続人×××××(以下、被相続人という)の死亡により相続が開始され、被相続人の妻○○○○○(以下、甲という)、被相続人の長女△△△△△(以下、乙という)の全ての共同相続人によって行われた遺産分割協議の結果、下記の通り遺産分割が成立したことを証明する。

 

一.被相続人甲は以下の遺産を取得する。

 

(1)預貯金

三菱UFJ銀行 大森駅前支店

普通預金 口座番号○○○○○○

口座名義人 ×××××

 

(2)土地

所  在              神奈川県横浜市鶴見区○○

地  番              ○○番○○

地  目              宅地

地  積              150.20平方メートル

 

(3)建物

所  在              埼玉県さいたま市中央区下落合○丁目○○番○

建物名称              ○○○マンション

 

二.非相続人乙は以下の遺産を取得する。

 

(1)建物

所  在              東京都中野区沼袋○丁目

家屋番号              ○○番○○

種  類              居宅

構  造              木造瓦葺3階建て

床面積    1階部分 42平方メートル

2階部分 42平方メートル

3階部分 37平方メートル

 

(2)動産

上記(1)の建物内にある家具家財等の一切

 

(3)車両

名義人                  ×××××

自動車登録番号    品川〇〇ろ10-55

車体番号              第○○○○号

 

三.本遺産分割協議証明書に記載のない遺産、及び後日判明した遺産(負債含む)については、相続人甲が相続するものとする。

 

令和元年7月1日

住 所    東京都大田区大森○丁目○○番地○

生年月日                            昭和25年1月22日

相続人甲                            ○○○○○           印

 

 

 

最後の日付は書類を作成した日付を記入し、「印」の部分には実印を押印してください。

 

取得した財産だけを記述する場合

 

次に取得した財産だけを記述する場合ですが、相続人ごとに内容が変わるため作成に時間が必要です。

全ての財産を記述するパターンと同様の条件として、相続人2人分のテンプレート一例をご紹介します。

 

 

 

【妻(相続人甲)の分】

 

遺産分割協議証明書

 

被相続人              ×××××

死亡日                  令和元年5月29日

最後の本籍           福井県福井市中央○丁目○○番地○

最後の住所           東京都大田区大森北○丁目○○番地○

 

被相続人×××××(以下、被相続人という)の死亡により相続が開始され、被相続人の妻○○○○○(以下、甲という)、被相続人の長女△△△△△(以下、乙という)の全ての共同相続人によって行われた遺産分割協議の結果、下記の通り、甲が財産を取得し、債務の負担を行うと決定したことを証明する。

 

一.被相続人甲は以下の遺産を取得する。

 

(1)預貯金

三菱UFJ銀行 大森駅前支店

普通預金 口座番号○○○○○○

口座名義人 ×××××

 

(2)土地

所  在              神奈川県横浜市鶴見区○○

地  番              ○○番○○

地  目              宅地

地  積              150.20平方メートル

 

(3)建物

所  在              埼玉県さいたま市中央区下落合○丁目○○番○

建物名称              ○○○マンション

 

二.本遺産分割協議証明書に記載のない遺産、及び後日判明した遺産(負債含む)については、相続人甲が相続するものとする。

 

令和元年7月1日

住 所    東京都大田区大森○丁目○○番地○

生年月日                            昭和25年1月22日

相続人甲                            ○○○○○           印

 

 

 

【長女(相続人乙)の分】

 

遺産分割協議証明書

 

被相続人              ×××××

死亡日                  令和元年5月29日

最後の本籍           福井県福井市中央○丁目○○番地○

最後の住所           東京都大田区大森北○丁目○○番地○

 

被相続人×××××(以下、被相続人という)の死亡により相続が開始され、被相続人の妻○○○○○(以下、甲という)、被相続人の長女△△△△△(以下、乙という)の全ての共同相続人によって行われた遺産分割協議の結果、下記の通り、乙が財産を取得し、債務の負担を行うと決定したことを証明する。

 

一.非相続人乙は以下の遺産を取得する。

 

(1)建物

所  在              東京都中野区沼袋○丁目

家屋番号              ○○番○○

種  類              居宅

構  造              木造瓦葺3階建て

床面積    1階部分 42平方メートル

2階部分 42平方メートル

3階部分 37平方メートル

 

(2)動産

上記(1)の建物内にある家具家財等の一切

 

(3)車両

名義人                  ×××××

自動車登録番号    品川○○ろ10-55

車体番号              第○○○○号

 

二.本遺産分割協議証明書に記載のない遺産、及び後日判明した遺産(負債含む)については、相続人甲が相続するものとする。

 

令和元年7月1日

住 所    東京都大田区大森○丁目○○番地○

生年月日                            平成50年7月20日

相続人乙                            ○○○○○           印

 

 

 

2人分の書類にはそれぞれが取得する財産しか記入されないため、相続人ごとに異なる内容のものを作成します。

相続人の人数が多ければかなりの時間を要する上に、誤記が発生しやすいため細心の注意を払って作成してください。

 

遺産分割協議証明書の作成は専門家に一任しよう

 

遺産分割協議証明書は相続人が遠方に住んでいる場合や、相続人の人数が多い場合に大変便利です。

遺産分割協議書を郵送する手間や時間を省くことができ、紛失のリスクも失くせます。

全ての書類が集まれば遺産分割協議書と同じ様に使うことができるため、状況次第では遺産分割協議証明書を作成するべきです。

 

しかし人数分の書類を作成するとなれば、多くの時間と労力が必要になることは間違いありません。

相続人の人数が多いほど誤記が発生しやすく、相続人同士のトラブルに発展する恐れもあるでしょう。

そのため相続という慣れない手続きを行う場合は、相続の専門家に作成を一任することが最善です。

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